経営戦略の成功例15選|5種類の戦略の特徴と成功する戦略策定のポイントを解説

経営戦略の成功例15選|5種類の戦略の特徴と成功する戦略策定のポイントを解説

経営戦略とは、企業が経営目標を達成するために定める方針のことです。

経営戦略の成功例を知ることで、自社の経営戦略に役立ちます。

成功している企業は、市場ニーズや自社の強みを把握し戦略立案に上手く活かしているため、経営戦略の種類や成功例を知ることは大切です。

この記事では、経営戦略の成功例を5種類の戦略ごとに3つずつ紹介します。

変化の激しい時代に自社のビジネスを成長させていくためにも、経営戦略をしっかりと立てましょう。

企業の代表的な経営戦略5種類

企業の経営戦略は、主に5種類に分けられます。

  1. 差別化戦略
  2. 集中戦略
  3. コストリーダーシップ戦略
  4. 多角化戦略
  5. ブルーオーシャン戦略

差別化戦略・集中戦略・コストリーダーシップ戦略の3つは、アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター氏が3つの基本戦略として提唱したものです。

今回は多角化戦略とブルーオーシャン戦略も含めた5種類を詳しく説明します。

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1. 差別化戦略

差別化戦略とは、自社商品・サービスを他社のものと差別化して独自のポジションを確立する戦略のことです。

モノがあふれている現代では、多くの企業が似たような商品・サービスを販売しています。

競合との違いを明確にして自社独自の価値を提供することで、競合よりも優位なポジションをとれます。

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2. 集中戦略

集中戦略とは、ターゲットとする顧客・地域・市場を限定し、経営資源を集中させる戦略です。

中小企業でよく採用されています。

狭い市場に経営資源を集中して投入することにより、自社の競争優位性が高まります。

3. コストリーダーシップ戦略

コストリーダーシップ戦略は、競合よりも安い価格で商品・サービスを販売しても、原価を抑えて利益率を高められる企業が競争優位性を確立する戦略です。

自社商品・サービスの価格を下げても収益を確保できるため、市場の価格決定権を握れます。

複数の企業がよく似た商品・サービスを販売して差別化しにくい場合、自社の利益を担保しながら価格を下げることで他の企業の撤退を狙います。

4. 多角化戦略

多角化戦略は、主力事業とは別の新しい分野に進出する戦略です。

1つの事業だけに集中すると外部環境の変化による減収や撤退のリスクがあります。

また、事業が一定の規模まで成長すると成長率が鈍化することが多いため、将来的に成長が見込めそうな市場に参入して自社の成長につなげます。

5. ブルーオーシャン戦略

ブルーオーシャン戦略は、競合が少ない市場で戦う戦略です。

競合が多い市場から自社のポジションをずらすことで、競合を減らして収益を安定させます。

ブルーオーシャン戦略がうまくいき、多くの顧客に認知されるとブランディング構築に役立ちます。

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各経営戦略の成功例3選

ここでは前章で説明した5種類の経営戦略の成功例を3社ずつ紹介します。

1. 差別化戦略の成功例

差別化戦略の成功例を紹介します。

  • スターバックス
  • 今治タオル
  • モスバーガー

差別化戦略の成功例はどれも、競合にはない自社独自の強みを打ち出して高価格での販売ができています。

スターバックス

スターバックスの差別化の成功事例
https://www.starbucks.co.jp

スターバックスが日本に進出するまでは、喫茶店は男性が主に利用していました。

それまでの喫茶店は喫煙が可能で、会社員がタバコを吸いながらコーヒーを飲んで休憩する場所でした。

スターバックスは女性をターゲットにして全店禁煙とし、おしゃれな店内でコーヒーの香りを楽しむ場所を提供したことで、差別化に成功しています。

無料Wi-Fiとコンセントを設置して、自宅でも職場・学校でもないサードプレイスとして独自の価値を築いています。

今治タオル

今治タオルの差別化の成功事例
https://imabari-towel.jp/shop/default.aspx

愛媛県今治市の名産である今治タオルは安い海外製のタオルに押されて売上が低迷していました。

今治タオルは品質の認定基準を設けて、高品質のものにだけ「今治タオル」のブランドロゴを与えています。

今治市には多くのタオルメーカーがありますが、各社が協力し合ったおかげで、他社が真似できないブランディングに成功しました。

モスバーガー

モスバーガーの差別化の成功事例
https://www.mos.jp

モスバーガーは日本のハンバーガー店で、創業当時からマクドナルドとの差別化を意識した戦略をとっています。

モスバーガーでは食材にこだわり、高価格だけれども高品質で美味しいハンバーガーを提供しています。

国産野菜を使用したり、七大アレルゲン食材を使わない低アレルゲンメニューを開発したり、品質を求める消費者のニーズに沿った商品展開が強みです。

業界1位のマクドナルドとの差別化をすることで、独自のポジションを築き業界2位にまで上りつめました。

2. 集中戦略の成功例

集中戦略の成功例として3社を紹介します。

  • スズキ
  • しまむら
  • コメリ

集中戦略はランチェスター戦略の弱者である企業が大手が避けている市場でシェアを広げ、認知度を向上させてブランディングに成功しています。

スズキ

スズキの集中戦略の成功例
https://www.suzuki.co.jp

スズキは軽自動車の製造に経営資源を集中させる戦略をとり、2006年までの34年間連続で軽自動車の販売台数国内1位を獲得しました。

スズキはインドへの集中戦略もとっており、インドでのスズキのシェアは50%を超えています。

インドの顧客が好むデザインや路面状況に合わせた設計などの工夫を行ったことも、集中戦略の成功要因となっています。

しまむら

しまむらの集中戦略の成功事例
https://www.shimamura.gr.jp/shimamura/

女性向けファッションを販売するしまむらは特定の地域に集中して出店するドミナント戦略をとっています。

地域集中型にすると、その地域での認知度が向上します。

物流センターと店舗の距離が近いため、スピードアップと配送コストの削減が可能です。

すべての店舗の在庫は本部のコントローラーで管理されており、売れていない商品を売れている店舗へ移送させて在庫を極力減らしています。

流通コストを低く抑えられる地域集中型だからこそ可能な仕組みです。

コメリ

コメリの集中戦略の成功例
https://www.komeri.com/shop/default.aspx

ホームセンターのコメリは、農村地域に集中して出店しています。

農家をターゲットにして、農業に必要な資材や園芸用品、建築資材などに特化した品揃えです。

コメリが発行しているクレジットカードのアグリカードでは、農家は収穫期に収入が多くなることから農業所得のある月に一括払いできる収穫期払いの設定ができます。

農家のニーズに応える集中戦略により、農業分野での成功を手にしています。

3. 多角化戦略の成功例

多角化戦略に成功している企業3社を紹介します。

  • 富士フイルム
  • ソニー
  • ヤマハ

多角化戦略は既存事業の技術やノウハウを応用して新規事業に乗り出します。

まったく関連のない事業に進出しても、すでにノウハウなどを持った競合がいるため簡単にシェアを奪えません。

後発組として自社の強みを活かせる市場を狙うことが重要です。

富士フイルム

富士フイルムの多角化戦略の成功事例
https://www.fujifilm.com/jp/ja

富士フイルムは写真フィルムの生産を主軸としていた会社でした。

写真フィルム業界の衰退により、現在は写真フィルム生産の技術を応用して化粧品や医薬品、再生医療分野の事業に進出しています。

写真フィルムの主原料はコラーゲンであり、肌の弾力を維持するために必要なものです。

写真の劣化を防ぐ抗酸化技術も、肌の老化を防ぐ技術として使われています。

富士フイルムは主軸の事業で使っている原材料や技術を他の業界に転用して、多角化経営に成功しました。

ソニー

ソニーの多角化戦略の成功事例
https://www.sony.co.jp

ソニーはもともと「東京通信工業株式会社」という通信関連機器のメーカーでしたが、改称を機に多角化を始めています。

計測器や電池などで実績を上げているアメリカの会社と合弁会社を設立したことが、多角化の最初です。

相手の製品を販売しながら、開発技術やノウハウを蓄積して独自製品の生産に結びつけました。

現在は音楽・ゲーム・映画・出版・雑貨・飲食・保険・不動産など、さまざまな異業種に進出しています。

ヤマハ

ヤマハの多角化戦略の成功事例
https://jp.yamaha.com/index.html

ヤマハは最初ピアノメーカーとして始まりました。

ピアノづくりの木工技術はプロペラや発動機、家具、車などの木工パネルの生産につながっています。

広い場所が必要なピアノの代わりとして電子ピアノが開発され、電子技術の蓄積から半導体技術に結びつきました。

半導体技術はネットワーク機器やオーディオ機器の生産に発展しています。

発動機の技術からボートやバイクなども生産されました。

ヤマハの事業はすべてレジャー産業として位置づけられており、レジャーを起点として事業の幅を広げています。

4. コストリーダーシップ戦略の成功例

コストリーダーシップ戦略の成功例は、以下の3社です、

  • サイゼリヤ
  • ユニクロ
  • ニトリ

コストリーダーシップ戦略を採用している企業は、低価格でも効率化を進めることで利益を確保しています。

サイゼリヤ

サイゼリヤのコストリーダーシップ戦略の成功例
https://www.saizeriya.co.jp

サイゼリヤは、低価格のイタリア料理レストランとして多くの顧客から支持されています。

サイゼリヤが低価格で提供できているのは、徹底した効率化やシステム化がされているからです。

自社農場で野菜を生産し、工場でカットまで済ませて店舗に届けられるため、包丁を使わずに調理ができます。

店舗スタッフは調理もホールもできるようにマニュアル化されているため、忙しい時間帯でも最低限の人数で十分なサービスを提供できています。

ユニクロ

ユニクロのコストリーダーシップ戦略の成功例
https://www.uniqlo.com/jp/ja/

ファストファッションブランドのユニクロは、商品企画・製造・物流・販売までを自社で一貫して行うSPA戦略を採用しています。

中間業者を挟まないため余計な手数料がかからず、自社の店舗の販売状況に合わせて生産量を調整できるため、コストカットが可能です。

コストカットできた分で品質の良い製品を開発しています。

ニトリ

ニトリのコストリーダーシップ戦略の成功例
https://www.nitori-net.jp/ec/

家具やインテリアの企画から販売までのすべてを自社で賄っているニトリは、業界で初めて海外での製造を行いました。

ニトリは家具・インテリア業界で初めてSPA戦略と海外拠点の設置を行い、それまでの業界の常識を破壊したと言われています。

他社と同じ機能性でも低価格で販売できることで、良いものを安く買いたいという顧客ニーズをつかめています。

5. ブルーオーシャン戦略の成功例

ブルーオーシャン戦略で成功しているのは、以下の3社です。

  • 任天堂
  • QBハウス
  • 星野リゾート

競合と異なるターゲットや顧客ニーズを狙って商品開発することで、ブルーオーシャンでうまくビジネスができています。

任天堂

任天堂のブルーオーシャン戦略の成功例
https://www.nintendo.com/jp/index.html

ゲーム業界では、ほとんどの企業が10代後半から20代をターゲットに、美しい映像やストーリー性の高さを追及するレッドオーシャンでした。

任天堂は普段ゲームで遊ばない年齢層をターゲットに「Wii」を販売し、大ヒットとなります。

Wiiは子供や親世代が楽しめて、直感的に操作ができることに重点を置いたゲーム機です。

Wiiがヒットする前は、子供がゲームで遊んでいると、たいてい母親から止められていました。

体を動かして家族みんなで遊べるWiiは母親とも一緒に遊べるゲームのため、母親にも好意的に受け止められています。

QBハウス

QBハウスのブルーオーシャン戦略の成功例
https://www.qbhouse.co.jp

美容室業界は美容師の多さから店舗が乱立しているレッドオーシャンです。

QBハウスはカット専門店として、10分1,350円(2024年3月現在)でカットするという短時間・低価格を実現させました。

シャンプーやカラーなどをセットにした充実したサービスよりも、カットだけ済ませられれば良いというニーズを満たしています。

時間がなくても髪を整えたい会社員や、長時間じっとしていられない子供へのサービスとしてヒットしています。

星野リゾート

星野リゾートのブルーオーシャン戦略の成功例
https://hoshinoresorts.com/jp/

ホテル・旅館業界は競合が多くレッドオーシャン化しています。

そのような中でも、星野リゾートでは古くからある日本旅館の良さにこだわっています。

星野リゾートは「日本旅館であるけれども、格好いい」というコンセプトで、都心でも日本旅館を運営しています。

温泉旅館は地方の温泉地に行かなければ泊まれないというイメージを覆し、もともとターゲットではなかったビジネスパーソンを顧客にできるようになりました。

小さなユニットバスでは疲れを取りにくいですが、都会の温泉で疲れた身体を癒せるのは、出張で上京したビジネスパーソンのニーズを捉えています。

星野リゾートは日本旅館をホテルの1カテゴリーと捉え、宿泊客の要望以上のおもてなしを体験してもらうことにより多くのリピーターを生んでいます。

成功に必要な経営戦略のポイント3つ

ビジネスを成功に導く経営戦略のポイントを3点説明します。

  1. 市場ニーズを把握する
  2. 自社の強みを明確にする
  3. 定量データと定性データの両方を確認する

経営者にとって重要なポイントでもあるため、経営戦略を立案する際にチェックしておきましょう。

1. 市場ニーズを把握する

どの種類の経営戦略をとったとしても市場ニーズとずれがあればうまくいきません。

ニーズがある分野・市場だからこそ自社商品・サービスが売れるのです。

顧客が求めているものを知るには、ペルソナ設定が重要です。

自社ターゲットとするお客さまが何を課題と感じ、何を必要としているのかを想定することで、市場ニーズとのずれをなくせます。

2. 自社の強みを明確にする

競合他社にはない自社の強みは、市場での優位性となります。

その強みを活かすことで、差別化戦略やコストリーダーシップ戦略などの経営戦略をとれます。

自社に弱みがあるとシェア縮小や価格競争などのリスクが大きくなるため、自社と競合他社の関係性や強み・弱みなどを詳しく調べておくことが大事です。

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3. 定量データと定性データの両方を確認する

売上や経費、市場規模といった定量データがわかりやすく、経営戦略策定の際に重視されがちです。

経営戦略を立てるには定量データだけでなく、技術力やノウハウ、顧客満足度などの定性データも取り入れる必要があります。

自社の強みには数字で計れないものもあるため、定量データと定性データの両方を確認し経営戦略立案に活かしましょう。

経営戦略の成功例を自社の戦略に活かそう

この記事では、経営戦略の種類と成功事例、ポイントを解説しました。

経営戦略の種類は複数ありますが、どれもが自社に当てはまるとは限りません。

しかし、経営戦略の成功例を知ることで、自社が経営戦略を立てるときのヒントになります。

自社の強みを最大限に活かして市場ニーズに応えられる経営戦略を立案してください。

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