事業拡大の成功例からは、自社の事業に適用できる拡大のヒントを得られます。
この記事では、事業拡大の成功例について、新規や継続事業の収益を伸ばした様々な企業を紹介します。
各社の具体的な事業拡大手法と成功のポイントを解説しますのでご覧ください。
また、事例から学べる事業拡大の手順や実践のヒントも紹介します。
本記事を最後まで読めば、成功例を参考に、すぐに自社で事業拡大の施策を実践できる準備が整います。
事業拡大を行い、収益を上げて持続的な企業成長をしたい方は、ご覧ください。
事業拡大の成功例
最初に、9社の事業拡大の成功例を紹介します。
富士フイルム
富士フイルムは、フィルムメーカーとして知られていましたが、2000年以降デジタルカメラの普及により写真フィルムの需要が減少しました。
そこで、自社のフィルム技術である既存事業を新たな市場で応用できないか考えたのです。
具体的には、フィルムの主成分であるコラーゲンが肌のケアに役立ち、写真の退色を防ぐための抗酸化技術が肌の老化を防ぐのに有効だという事実を活かして、その技術で化粧品を開発しました。
フィルム技術を活かした化粧品は、「サイエンスに裏付けられたエイジングケア」というキャッチコピーがつけられ、人気ブランドとしての地位を確立しています。
企業は自社の長所や持っている技術が新たな分野で活かせないか考えることが重要です。
任天堂
任天堂は、2021年に12年ぶりの最高純利益を更新して事業拡大を成功させました。
成功理由は、自社の既存技術を活かして新たなゲーム機「Nintendo Switch」を開発し、それが全世代に受け入れられたことです。
Nintendo Switch本体は、2023年12月末時点累計で1億3,936万台、ソフトは12億10万本を売り上げています。
これは、歴代のゲーム機・ソフトと比較して、Nintendo DSの1億5,402万台に続く2位、ソフトでは過去最高の売上です。
Nintendo Switchは、場所を問わず持ち運べる、組み立てが不必要でボタンや画面タッチで操作できるなど、誰でも直感的に遊べるのが特徴でした。
また子供向けや大人向けのソフトなど、様々な年代が遊べるソフトを開発・発売したのです。
また、オンラインを通じてゲームソフトを販売し、新たな販売経路を確立したこともソフトの売上向上につながっています。
企業はデジタル化を進めて新たな販売経路を作ったり、製品やサービスの設計段階から複数の世代をターゲットにしたりすることで、より多くのお客様へとリーチできます。
マツダ
マツダは、独自のリブランディング戦略で製品を改良して、事業拡大に成功しました。
成功理由は「2%戦略」を実行したことです。これは、多くの人からの支持を集めるのではなく、2%の人に強くファンになってもらうことを目指す考え方です。
既存ファンの強い共感を集めることで、ブランド力の向上を狙いました。
具体的には、車のデザインに「魂動(こどう)」という考え方を使い、感動を呼ぶクルマを創造しました。
また、日本の伝統的な「エレガンス」も大切にして、シンプルながらも美しい車を作り出したのです。
そして、魂動デザインを用いた車を開発して、商品ラインナップを増やした結果、独特のブランドイメージを築きました。
2010年に魂動デザインを発表後、2020年にかけて販売台数は右肩上がりで増えています。
顧客の共感を呼ぶ製品やサービスを提供するには、自社の独自性を明確に理解し、それを活かす方法を考えることが重要です。
参考:マツダ100周年サイト『数字で学ぶ百年史 – 生産台数の推移』
ダイキン工業
空調事業を主力とするダイキン工業は、2003年から2023年の20年間で海外売上高比率を37%から83%へと伸ばし、全世界5地域で大きな売上成長を達成しました。
成功理由は、各国の気候・規制・住宅規模に合わせた製品を開発して、地域に特化したニーズに応えたことです。
アジアやオセアニアの中間所得層向けに製品を展開し、ボリュームゾーンへの広い顧客層の獲得に成功しました。
例えば、インドでは2030年に2020年と比較して空調機の規模が4倍になると予測されるそうです。
ダイキン工業は、いち早く市場に参入し、現地のニーズを把握することで需要に応える製品を開発してきました。
2015年にはインドで空調市場のシェア一位を獲得しています。
企業は成長が見込まれる市場にいち早く参入することで、市場シェアの確立とブランドの認知度向上を狙えます。
ソニー
ソニーは、家電業界を超えた事業拡大の見本として知られています。
もともとテレビやカメラに重きを置いていたソニーは、ゲーム機や半導体、さらには音楽、映画、そして金融サービスといった幅広い分野へと事業を広げてきました。
ソニーの多角化は、元々電気製品に関連する計測機器の製造から始まっています。
その後、1968年に設立されたCBS・ソニーレコードの音楽事業や、米プルデンシャル社との合併による生命保険事業など様々な業種への進出が続きました。
多角化戦略により一つの事業に経営を依存しない会社作りに成功し、2014年、テレビとPCの市場での苦戦にもかかわらず経営を安定させています。
企業は市場で成功するポテンシャルがある事業に注力することで、多角化戦略を展開できます。自社の強みと市場の需要を考えて、成長できる事業を考えてみましょう。
参考:ソニーグループポータル『Sony History 第21章 多業種へのチャレンジ』
楽天
楽天は、会員制という戦略を軸に多様なサービスを展開し、事業拡大に成功しています。
国内外で70以上のサービスを提供する楽天は、一つのIDで全てのサービスを繋ぐ「楽天エコシステム」という仕組みを作りました。
会員は楽天の様々なサービスを利用すると楽天ポイントを貯められ、他の楽天サービスで使用できるシステムです。
例えば、楽天モバイルの契約者を対象に、ポイント倍率を最大でプラス3倍にしたことで他のサービスの利用を促しました。
これらの取り組みにより、楽天の連結売上収益は年々上昇しています。
企業は顧客の利便性や受け取るメリットを最大化するために、顧客とのコミュニケーションを増やすことで課題やニーズを把握しましょう。
参考:
・楽天グループ株式会社『楽天の事業』
・楽天グループ株式会社『業績推移(年度別)』
ソフトバンク
ソフトバンクはパソコンソフトの販売からスタートした企業です。
同社は、ソフトウェアの市場が落ち着くと、インターネットの普及と共にブロードバンド事業へと舵を切りました。
具体的には、ADSL技術を活用したブロードバンド総合サービス「Yahoo! BB」を開発・販売しました。
ADSL技術の普及前、日本のインターネット環境において、多くのユーザーがダイヤルアップ接続を利用しており、これは非常に低速でコストもかかるものだったのです。
そこで、「Yahoo! BB」は「スピードはほぼ2倍、価格はほぼ半額」という設定を打ち出し、多くの顧客を獲得しました。
これにより、従来のインターネット環境に比べ、はるかに速い接続速度をより多くの消費者が手頃な価格で利用できるようになり、インターネットの利用が一般化しました。
企業は市場のニーズを的確に捉えて時代のトレンドを読みながら、消費者が望む事業戦略を考えましょう。市場の変化を察知し、積極的に新しい分野に挑戦することが大切です。
参考:ソフトバンクグループ株式会社『ソフトバンクグループの歩み』
ヤマト運輸
ヤマト運輸は「クロネコ家電 Dr.修理サービス」を通じてワンストップでの家電修理サービスを提供し、事業拡大に成功しました。
成功理由は、既存の宅急便サービスで築いた信頼と実績、そして物流の専門知識を活かし、新たな市場である家電修理サービスに参入したことです。
本サービスでは、故障した家電製品をヤマト運輸が回収し、修理して返却するという流れを一手に担うものでした。
これにより、顧客は梱包や発送の手間を省くことができ、顧客満足度が高まりました。
変化する市場環境に対応するためには、既存のリソースを有効活用しつつ、新しい顧客ニーズをとらえたサービスを考えましょう。
ローソン
ローソンは、自社の根本的な価値観を大事にして、事業拡大を成功させました。
ローソンは、1939年にアメリカの酪農家が創業した牛乳店として始まりましたが、1959年にコンビニエンスストアとしての形を変え、1975年には日本で初店舗をオープンしました。
成功理由は、コンビニエンスストアの運営一辺倒ではなく、牛乳を起点とした幅広い商品づくりをしたことです。
例えば、成分無調整牛乳やホットミルクなど、様々な牛乳の商品を売っているのはローソンならではです。
独自の強みを活かすことで、ローソンは競合他社との差別化を図り、根強いファンを獲得しました。
企業は顧客のニーズに合わせた独自性のある商品やサービスを展開することで、顧客満足度を高め、競合他社との差別化を図れます。
事例から学ぶ事業拡大の手順
次に、事例から学べる事業拡大の手順を紹介します。
事業のビジョンと目標を明確にする
事業のビジョンと目標を明確にすることで、会社は正しい方向を保ち、従業員は一つの目的に向かって力を合わせられます。
長い目で見た計画を基に、毎年の目標を含む戦略を作成しましょう。
また、市場の変動や突発的な問題にも対応できるように、目標は変更しやすいものにしておくことが大切です。
チームを編成する
次に、チームを編成します。
チームには、経験豊かなメンバーと新しい視点をもたらす若手人材をバランス良く配置することが大切です。
各メンバーが持つ特異なスキルと経験を生かし、相乗効果を生み出せるチームを作りましょう。
市場調査の実施
市場調査をすると、どのような製品やサービスが人気か、そしてお客様が何を求めているかが分かります。
消費者の嗜好や購買習慣を見て新しい商品や宣伝の計画に役立てましょう。
また、競合との比較を行い自分たちの商品が際立つような独自性を見つけてください。
戦略の作成・実行
最後に、事業戦略を作成し実行しましょう。
市場分析を深め、見込みのある戦略を作成します。
ここでは、事業計画の財務面をしっかりと計算し、投資の見込みや必要な資金を確保します。
また、効果的なマーケティング戦略を立て、ターゲットとする顧客層にリーチする方法を考えましょう。
事業拡大の成功のヒント
最後に、事業拡大の成功のヒントを解説します。
1. タイミングに注意する
事業拡大の成功のヒント1つ目は、拡大のタイミングを見極めることです。
収益が安定していれば、計画的かつ慎重に拡大することが大切です。
業績が芳しくない場合には、新たな事業や市場に進出して資金を調達し、会社を立て直せます。
しかし、安易な進出は避け、現事業の状況に応じて慎重に判断することが重要です。
2. 強みを活かす
事業拡大の成功のヒント2つ目は、自社の強みを活かすことです。
全く新しい商品やサービスで勝負するより、強みを活かした新規事業を作ったり、既存事業に変更を加えたりする方が、企業は元々持っている能力を活かせます。
専門知識、独自の製品やサービス、強固な顧客基盤、ブランド力など既存の能力やリソースを活かして事業拡大をする方法を考えてみましょう。
市場の変化や競合の動きに応じて継続的に自社の強みを見直し、強化することが大切です。
事業拡大の成功例を自社の成長に活かそう
今回は、事業拡大の成功例を9つ紹介し、事業拡大の手順と成功のヒントを紹介しました。
事業拡大は、急速に変化する市場のなかで上手く適応するために大切なことです。
新規事業や既存事業で事業拡大を考える際は、自社が既に持っている技術や強みを上手く活かす方法を考えてみてください。
また、今回紹介した成功例を参照しながら自社にも活かせるノウハウを取り入れ、事業拡大の施策を考えてみていただければ幸いです。
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