事業拡大がうまくいかない場合の、リスクや要因・対策を解説しています。
事業拡大がうまくいかないと、出費が増える上に組織マネジメントや組織のクオリティ確保にも影響が出かねません。
うまくいかない要因には、マーケティング戦略の問題などさまざまなものが考えられます。
それらを解決するには、自社や競合などを十分理解し、確実に利益を出しにいくことです。
実際の事例も紹介しているので、この記事を読めば事業拡大がうまくいかない現状を打破するヒントが得られるでしょう。
事業拡大がうまくいかない場合のリスク
ここでは、事業拡大がうまくいかない場合のリスクを3個解説します。
- 先行投資や固定費が増大する
- マネジメントが難しくなる
- 組織全体のクオリティが下がる
では、1つずつ見ていきましょう。
先行投資や固定費が増大する
事業拡大では、先行投資や新たな固定費がかかることは避けて通れません。
これらが経営を圧迫して、資金繰りが苦しくなることもあるでしょう。
場合によっては、事業拡大で思うように収益を挙げられず、出費が増えて倒産することもあるかもしれません。
マネジメントが難しくなる
事業拡大を成功させるため、今までより従業員の数を増やすことでマネジメントが難しくなります。
また、今まで採用していなかった職種の従業員を採用するケースもあるかもしれません。
今までとは違う考え方や経歴を持つ社員が増えることで、組織をまとめあげることが難しくなるでしょう。
組織全体のクオリティが下がる
無理に事業拡大を行うと、従業員や予算などが不足して、組織全体のクオリティが下がる恐れがあります。
また、事業拡大の過程で思わぬトラブルが発生し、余計なリソースが必要になることもあるでしょう。
これらによって、組織全体のクオリティが下がると、業務・サービスの品質が低下しても無理はありません。
結果的に収益も上がらず、ますます事業拡大がうまくいかなくなるのです。
マーケティングセミナーで組織づくりを学ぶ意義とは?課題となりやすいポイントを解説事業拡大がうまくいかない要因は?
ここでは、事業拡大がうまくいかない要因を14個解説します。
- ニーズが大きくない
- 強力な競合相手がいる
- ビジネスモデルに問題がある
- マーケティング戦略に穴がある
- 従業員のモチベーションが不足している
- 経験がある従業員がいない
- 大企業の成功事例をそのまま真似する
- 現場に事業を丸投げしている
- 複数の事業を同時に拡大しようとする
- 合議制で意思決定してしまう
- 補助金獲得を事業の目的にしている
- 外部に詳細を丸投げしている
- アイデア出しからスタートする
- 「やりたい」ことを起点に事業内容を考える
では、1つずつ見ていきましょう。
ニーズが大きくない
ニーズが大きくない事業では成功は難しいと言えます。
競合相手が少ない市場で戦うことは重要ですが、そもそもマーケットの規模が小さければ収益をあげることは難しくなります。
強力な競合相手がいる
競合相手が強力だと、簡単には市場でのシェアを取れません。
このような失敗を防ぐには、多くの場合事前リサーチで徹底的に競合相手を洗い出しましょう。
ビジネスモデルに問題がある
自社のビジネスモデルに問題があっても、事業拡大はうまくいかないでしょう。
共業の失敗や想定外のコストなど、実際にビジネスモデルを動かしてみると、案外問題が露呈するものです。
ビジネスモデルの作り方は?種類や成功した企業事例も解説マーケティング戦略に穴がある
マーケティング戦略に穴があると、商品・サービスが優れていても思うように売り上げは伸びません。
市場ニーズに加え、効率的に売り込むための勝ちパターンも最初に作り込みたいところです。
事業拡大に有効なマーケティング戦略3選!事業拡大へのステップや企業事例も紹介従業員のモチベーションが不足している
従業員のモチベーションも、事業拡大が成功するかどうかに影響してきます。
従業員の資質を見極め、事業拡大に適性のある従業員を選びましょう。
また、人手不足や評価体制の不備も、従業員のモチベーション低下につながりかねません。
経験がある従業員がいない
事業拡大に関わる経験がある従業員がいるかどうかは重要です。
事業の方向性やマネジメントなどの要領が誰もわからず、事業拡大がうまくいかなくても無理はありません。
大企業の成功事例をそのまま真似する
中小企業の事業拡大でよくある失敗の1つが、大企業での成功事例をそのまま真似をすることです。
大企業と中小企業では、資本力やブランド力などあらゆる前提条件が異なるため、大企業と同じやり方ではうまくいかなくても仕方ありません。
個人事業主向けのセミナーとは?学べる内容や参加するメリット、選び方を解説現場に事業を丸投げしている
経営者が現場や市場について理解せず、アイデアだけ現場に出して後は丸投げしても、成功は見込めないでしょう。
また、経営者が現場に責任を押し付けると、現場は経営者に強い不信感をもっても仕方ありません。
複数の事業を同時に拡大しようとする
事業拡大は、ひとつずつ順番に行うようにしましょう。
1つの事業を拡大させるだけでも、かなりのリソースが必要になります。
それを複数実施すれば、リソース不足で破綻しても仕方ありません。
特に、リソースが限られる中小企業や個人経営では、一度に複数の事業拡大を行わず、一点集中がポイントと考えましょう。
合議制で意思決定してしまう
合議制を採用すると、時間がかかる上に計画の柔軟性を確保しづらくなることが問題になります。
事業拡大では、イレギュラーな事案が発生し、素早く柔軟な判断が必要になることもあるでしょう。
よって、事業拡大において合議制は不向きです。
補助金獲得を事業の目的にしている
補助金を目的にすると、補助金申請や経過報告などで余計なリソースが取られる上に、要件を満たすために自社や市場の実情に合わないことを無理にすることになるかもしれません。
成功の算段ができた上で、あくまでも補助的に申請するに止めましょう。
外部に詳細を丸投げしている
自社で事業の流れを十分把握していない状態では、外部に業務を発注しても進捗管理ができません。
よって、外部に詳細を丸投げしても、事業拡大はうまくいかないでしょう。
まずは自社だけで事業を回せるようにしましょう。
アイデア出しからスタートする
アイデア出しからスタートすると、考えるきっかけがないのでアイデアが出なくても仕方ありません。
反対に、アイデア自体は出るものの、うまくまとめられないこともあるでしょう。
そうではなく、自社のリソースや競合分析を行うことで、自ずとアイデアが湧いてくる状態が理想です。
「やりたい」ことを起点に事業内容を考える
「やりたい」ことは、市場のニーズに合致していないことも決して少なくありません。
また、自社のリソースを考えると、「やりたい」ことをそもそも実現できないこともあるでしょう。
あくまでも、ニーズがあり自社のリソースで実現できることを考えることが、事業拡大では優先すべきことです。
事業拡大がうまくいかない場合にはどう対策を講じる?
ここでは、事業拡大がうまくいかない場合に講じるべき対策を5個解説します。
- 利益率を重視する
- 人員は十分確保しておく
- 緻密に市場分析を行う
- 新規事業は自社の強みを生かせる分野に絞る
- 最初は小さく始めてみる
では、1つずつ見ていきましょう。
利益率を重視する
事業拡大を考える際には、売上の伸び率よりも利益率を重視しましょう。
なぜなら、利益を確保できないと経営の余裕が失われ、赤字になりやすくなるためです。
事業拡大を行うと、先行投資や固定費が増えます。
よって、安定した経営基盤を確保しつつ事業拡大を行うには、利益率を軽んじてはいけません。
利益を上げるための取り組みを解説|利益を出すには2つしかない構造を知ろう人員は十分確保しておく
事業拡大を進める前には、拡大したい事業と既存事業の両方を確実に実施できるよう、十分な人員の確保と教育が欠かせません。
特に、人材不足でマネジメントの資質が少ない従業員に無理にマネジメントをお願いしても、失敗につながるでしょう。
また、人材不足でサービスの品質やトラブル対応に支障が出ると、企業ブランドにも悪影響が出るかもしれません。
緻密に市場分析を行う
事業拡大を進める際には、市場分析が欠かせません。
特に注目していただきたいポイントは、自社製品の製品ライフサイクルです。
製品ライフサイクルは、以下の4サイクルに大別されます。
- 導入期
- 成長期
- 成熟期
- 衰退期
事業拡大を行うタイミングとしては、一般的には成長期がベストです。
反対に、成熟期や衰退期であれば、需要の拡大が期待できない分事業拡大がうまくいかない可能性が高まるでしょう。
新規事業は自社の強みを生かせる分野に絞る
事業拡大の成功率を高めるには、自分や自社の強みを活かせる分野を選ぶこともポイントです。
話題になっているからと参入しても、自社の強み・経験を生かせないと、0からしかスタートできません。
反対に、自社の強みを活かせる分野を選べば、失敗リスクを抑えられる上に、成功までのスピードも大幅に早まるでしょう。
最初は小さく始めてみる
事業拡大をより確実に成功させるには、最初は小さく始めてみて、業務を一通り回してみて課題を抽出することがおすすめです。
いくら自信があっても、実際に業務を進めていくうちに思わぬ課題が露呈することは、決して珍しくありません。
だからこそ、まずは小さく始めて検証を重ね、勝ちパターン・負けパターンを蓄積していくことが、成功するためのポイントです。
事業拡大がうまくいかない事例
ここでは、事業拡大がうまくいかない事例を3個解説します。
- ユニクロ
- ライザップ
- ダイムラー・クライスラー
では、1つずつ見ていきましょう。
ユニクロ
ユニクロは、イギリス進出で一度失敗した経験があります。
その原因は、人材選びにありました。
現地経営を現地の人材に任せたものの、結果的に現地ではユニクロの企業方針とかけ離れた経営を引き起こしていたのです。
最終的にユニクロはイギリスから撤退を余儀なくされましたが、この事例から、企業方針や理想を実現できる人材選びが大切だと学べます。
自社の状況や事業拡大のフェーズなどに応じて、最適な人材は異なるため、そこの見極めも欠かせません。
ライザップ
ライザップでは、一時期M&Aによる事業拡大を進めていました。
ただ、実態は業績不振のために安い資本金の会社を買収し、グループ全体の利益を上げているかのように見せかけていたものでした。
しかし、買収した会社の再建がうまくいかず、2018年に赤字転落となりました。
これは、再建ノウハウの不足や、事業拡大プランの甘さが原因だと考えられます。
ダイムラー・クライスラー
ドイツのダイムラー・ベンツが、アメリカのクライスラーを1998年に買収した事例では、社風の違いが事業拡大に失敗した要因です。
規律に厳しい社風であるダイムラー・ベンツと、自由な社風で有名なクライスラーでは、経営陣や従業員が一致団結できなくても無理はありませんでした。
最終的に役員の流出や従業員の流出などが重なり、グループ全体が弱体化したため、2007年にはダイムラー・ベンツはクライスラーを売却する羽目になりました。
ここから、買収による事業拡大を行うには買収先の社風も十分考慮しつつ、いち早くチームとして一つになれるようマネジメントすることが必須とわかります。
まとめ
この記事では、事業拡大がうまくいかない場合の、リスクや要因・対策を解説しました。
事業拡大がうまくいかないと、資金繰りや組織運営が厳しくなる上に、人間関係にも影響が及ぶかもしれません。
リソース不足や市場ニーズの認識不足などが事業拡大を妨げるので、まずは社内外の現状を十分に把握し、収益を確実にあげられるフィールドで勝負することが基本です。
事業拡大がうまくいかない場合は、今回解説した内容を踏まえて、その原因を洗い出して適切な対策を講じていきましょう。
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