人手不足は中小企業の約50%が挙げている課題です。
人手不足は現場の忙しさの問題ではなく、放置すれば中小企業にとって存続を脅かす経営リスクとなります。
資本力のある大企業は初任給の賃上げや待遇改善などをして新卒を採用できますが、資本力のない企業が採用を増やすには工夫が必要です。
この記事では、中小企業が陥る人手不足の原因や与える影響、解決策などを解説します。
自社の採用率を上げる方策の参考にしてください。
データからわかる中小企業の人手不足の現状
2024年の日本商工会議所の調査によると、中小企業の63.0%が人手不足と回答しています。
運輸業と建設業の人手不足が約8割と高い状況で、次いで宿泊・飲食業と介護・看護業などが深刻です。
人手不足と回答した企業の約6割が、事業運営に「深刻な影響が出ている(廃業の恐れ含む)」としており、人手を確保できないことが経営危機につながっています。
賃上げによる人材確保競争が激化する一方で、原資となる利益確保が追いついていない企業も多く、DXや価格転嫁を進められるかどうかが、今後の事業継続を分ける状況と言えるでしょう。
参考:日本商工会議所・東京商工会議所『「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」調査結果』
中小企業庁『令和6年度(2024年度)の小規模事業者の動向』
中小企業が人手不足になる原因
日本全体で人が減っている中で給与や知名度が高い大企業に人材が流れ、中小企業には回ってこないことが多くなりました。
単に募集をかけるだけでなく、選ばれるための労働環境改善や少ない人数でも回る業務効率化がセットで必要となります。
1. 生産年齢人口の減少
内閣府の『令和6年版 高齢社会白書』によると、15歳〜64歳の生産年齢人口は1995年に8,716万人でピークを迎えましたが、その後減少を続けています。
総人口に占める割合も、1995年の69.4%から2070年には52.1%まで低下すると見込まれており、経済や社会保障の支え手が急速に少なくなっていく課題が浮き彫りになっています。
参考:内閣府『令和5年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況』
2. 大企業との待遇格差
労働人口が減ると、求職者がより良い条件の会社を選ぶ売り手市場になります。
大企業は求職者を採用するため大幅な賃上げや福利厚生の改善を行っていますが、多くの中小企業は原資がなく、大企業に勝つのが難しい状況です。
中小企業は立場の強い発注元である大企業に対してコスト増を価格転嫁しにくい構造があり、利益が圧迫され、賃上げに回せていません。
待遇格差を埋めるために賃上げを迫られていますが、原資の確保に苦しんでいます。
3. 知名度の低さ
どんなに優良な中小企業でも、一般消費者向けのビジネスをしていない限り、求職者に社名を知られることが少ないです。
学生や求職者は基本的に知っている会社から応募するため、中小企業は検索すらされない認知の壁があります。
また、ハローワークに求人を出すだけで止まっているケースが多く、WebやSNSを使ったオンラインの採用活動ができていないことも知名度の低さにつながっています。
4. 即戦力志向によるミスマッチ
中小企業には人を育てる余裕のないことが多く、即戦力を求める傾向が強いです。
大企業では営業だけ・経理だけのように職務が分業化されており、特定の適性があれば採用されますが、中小企業では前任者と同レベルの人やマルチプレーヤーを求めます。
高いスキルの経験者は市場に少なく、スキルに見合った報酬の支払いが必要になるため、互いの条件が合わずに採用できない状態が続くのです。
5. 労働環境のネガティブなイメージ
建設や製造、物流、介護などの業界では3K(きつい・汚い・危険)といった古いイメージが払拭できておらず、若者から敬遠されがちです。
中小企業だから大企業のようにはできないと経営者が考え、ハラスメント対策や労働基準法の遵守が疎かになっている企業もあります。
また、人材不足や予算面からテレワークやフレックス制度の導入が進んでいない企業が多く、古い体質の会社と見なされることがあります。
人手不足が中小企業に残すダメージ
中小企業にとっての人手不足は成長の機会を奪い、組織を内部から崩壊させ、倒産リスクを高めるという危険な経営課題です。
体力のある大企業なら多少の欠員をカバーできますが、少人数で回している中小企業にとっては、たった1人の退職が命取りになることも珍しくありません。
1. 受注の機会損失
顧客からの需要や仕事の依頼があるにもかかわらず、現場の社員が手一杯になり、機械やトラックが空いていても、動かす人間がいない状態になります。
昔は残業でカバーできましたが、働き方改革により無理な長時間労働ができなくなりました。
事業を拡大できるチャンスがあるのに自ら成長を止めることになり、得られたはずの売上と利益が減少します。
飲食店であれば営業時間の短縮、運送業の配送エリア縮小、建設業の工期延長のような影響が現れます。
2. 既存社員への負担増
人が足りない分を既存社員の残業や休日出勤でカバーすることになります。
代替要員がいないため、有給休暇が取れなくなるだけでなく、体調不良でも休みづらくなります。
長時間労働が常態化し、耐えかねて疲弊した社員が辞めると、残った社員の負担がさらに増えて離職する負の連鎖が起こりやすい状況です。
人手不足を解消しようと新人を採用すると、現場のマネージャーは自分の数字を追いかけながら未経験者の指導もしなければならないため、物理的に時間が足りません。
教えるより自分でやったほうが早いと考えながら、無理やり指導をすることが大きなストレスとなります。
3. 品質・サービスの低下
業務量に対して人員が不足していると、一人ひとりが常に時間に追われる状態になります。
時間がないために作業工程や確認作業が疎かになると、製造業では不良品の発生、事務では入力ミス、サービス業ではオーダーミスなどが頻発します。
長時間労働や連勤による疲労の蓄積で注意力が散漫になり、普段なら気づくはずの異変も見落とすようになるでしょう。
最終的には納期の遅れ、接客態度の悪化などが起き、長年の取引先や顧客の信頼を失う可能性があります。
4. 技術・ノウハウの承継断絶
ベテラン社員自身が現場の穴埋めで手一杯になり、若手に技術を教える時間がなくなります。
ベテラン社員が高齢化して引退する前に、次世代の若手を採用・育成できなければ、会社の技術力は失われてしまうでしょう。
熟練の技は音の変化や手触り、勘といった言語化しにくい感覚に依存していることが多いです。
マンツーマンで長い時間を共有しないと伝わりませんが、人手不足で余裕がありません。
マニュアルを作る時間もないため、ベテラン社員がいなくなった瞬間に再現不可能になります。
中小企業の人材不足を解決する採用力強化策
中小企業は採用にお金をかけるよりも、手間と熱意をかけるべきです。
知名度がなくても「この会社で働きたい」と思わせる独自のブランドを作りましょう。
1. ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業が求職者からの応募を待つのではなく、企業側から欲しい人材を直接探し出し、アプローチする手法のことです。
これまでの手法では限界がきている中小企業にとって、知名度の壁を越えて人材を確保する方法として注目されています。
人材データベースに登録している求職者の中から、自社の条件に合う人を検索し、直接スカウトメールを送って口説く方法です。
知名度がなくても、熱意あるメールで「あなたが必要だ」と伝えることで、求職者を振り向かせられます。
2. 求人票や採用サイトの改善
求人票や採用サイトには、求職者に自社で働くイメージをもってもらうことが重要です。
初任給だけでなくモデル年収や、教育のスケジュールを提示することで、安心感を与えられます。
残業や休日出勤が多くても理由を正直に説明することで信頼を得られます。
求職者に求めすぎている条件を必須条件と歓迎条件に分けることで、熱意のある人に興味をもってもらいやすくなるでしょう。
採用以外で中小企業の人材不足をカバーする方法
人手不足を社員を増やすことだけで解決するのは限界があります。
中小企業が目指すべき人材不足の改善策は、今いる人数で回る仕組みを作ることと、今いる人が辞めない環境を作ることの2軸で進める必要があります。
1. 労働環境の改善
フルタイムで毎日出社できる人だけを求めると採用候補が激減します。
制約のある人でも働ける環境を作れば、育児中・介護中の優秀な人やシニア層を活用できます。
テレワークや短時間正社員制度、時間単位の有給休暇など、柔軟な労働環境を導入しましょう。
特定の社員しかできない仕事のような属人化をなくすため、業務マニュアルを整備し、誰でも業務を回せる体制を作ることが重要です。
2. 人材育成の強化
先輩社員が忙しく「背中を見て覚えろ」という教え方をしている中小企業もありますが、人材育成プログラムを作成することで、計画的に教育できます。
OJTチェックシートやスキルマップを導入し、ゴールを可視化しましょう。
eラーニングやオンライン研修を取り入れるのも効果的です。
3. DX・業務効率化
人がやっていた作業をITツールに置き換えることで労働時間を削減し、人手不足を解消します。
経理や勤怠管理、給与計算をデジタル化すれば、総務・経理担当者の手入力がなくなり負担軽減が可能です。
電話や口頭伝達をチャットツールに置き換えれば、発言がすべて残り、移動中や在宅でも連絡が取りやすくなります。
ITツールの導入にはコストがかかり、活用する人の研修が必要となりますが、単純作業を自動化すれば社員は生産性の高いコア業務に取り組めます。
4. アウトソーシング
中小企業ではさまざまな業務を1人で行うことが多いため、役割が混在しがちです。
社員には営業・製造・接客などの利益を生む仕事に集中してもらい、他の業務を外部に委託します。
社内にノウハウがない専門分野は社員を育成するよりプロに頼むほうがスピードが速く、品質も高くなります。
クラウドソーシングで個人事業主や副業の人材を使うことで、相場よりも比較的安く発注しやすいです。
人手不足は中小企業にとって変革のチャンス
人手不足は、多くの中小企業にとって存続を揺るがす危機ですが、同時に過去の慣習と決別する絶好のチャンスでもあります。
人が足りないという問題があるからこそ、長年先送りにしてきたDX化や不採算事業の見直しに本気で取り組めるからです。
人を増やすという従来の解決策を捨てて、今いる人数で最大の成果を出す仕組みを構築し、生産性が高まれば賃上げや労働環境の改善が可能になり、優秀な人材が集まる好循環が生まれます。
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FAQ・よくある質問
中小企業が人手不足で採用もできない場合の解決策は?
テレワークや短時間正社員制度、時間単位の有給休暇などの柔軟な労働環境を導入すれば、育児中・介護中の優秀な人やシニア層のような働く時間に制約のある人を活用できます。
特定の社員しかできない仕事のような属人化をなくすため、業務マニュアルを整備し、誰でも業務を回せる体制を作ることが重要です。
中小企業の人手不足解消に有効な採用施策は?
企業が求職者からの応募を待つのではなく、企業側から欲しい人材を直接探し出し、アプローチする手法であるダイレクトリクルーティングが有効です。
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