組織課題を見つけるには?よくある具体例と解決方法、フレームワークを解説

組織課題を見つけるには?よくある具体例と解決方法、フレームワークを解説

組織課題は経営者だけで解決できるものではありません。

全社員が一丸となり組織課題に取り組む必要があります。

放置すると人材が離れ、売上も低下し、経営悪化につながります。

自社を理想の状態にするため、従業員の声やデータを客観的に把握し、不満を解消していきましょう。

この記事では、自社の組織課題を洗い出し、解決したいと考えている経営者のために、具体例、見つけ方と解決方法、役立つフレームワークを説明します。

組織課題とは組織の理想と現状のギャップ

組織課題とは、企業やチームが目標を達成するために解決しなければならない障害や、さらなる成長のために取り組むべきテーマのことです。

組織課題は主に顕在的なものと潜在的なものの2種類に分かれます。

1. 顕在的な組織課題

顕在的な組織課題とは、誰の目にも明らかですでに表面化しており、実害が出ている問題のことです。

経営陣から一般社員まで多くの人が問題を認識しており、数値や事実として明確に現れている状態を指します。

  • 赤字
  • 売上の減少
  • 離職率の高止まり
  • ハラスメントの告発
  • 顧客からのクレーム数の増加

顕在的な課題はあくまで結果であることが多いため、その後ろに隠れている潜在的な課題を見つけ出して解決することが必要です。

2. 潜在的な組織課題

潜在的な組織課題とは、まだ表面化していないが組織の水面下で進行している問題や、将来的に大きなトラブルの原因になり得るリスクのことです。

  • 心理的安全性の欠如
  • 後継者の不在
  • 業務の属人化
  • 過去の成功体験への固執

潜在的な組織課題は数字や報告書に現れにくく、今すぐやらなくても困らないため、対応が後回しにされやすいです。

トラブルが起きてから慌てるのではなく、潜在的な段階で課題を察知し、先手を打って潰しておきましょう。

あるあるな組織課題の具体例

ここでは組織課題の具体例と解決策を紹介します。

改善する際には顕在的な課題に対処しつつ、潜在的な課題にアプローチしましょう。

1. 理念が形骸化している

理念の形骸化は、社員のエンゲージメントを下げる原因となる潜在的な課題の1つです。

企業理念はあるものの、現場の社員の行動や判断にまったく影響を与えていない状態のことです。

企業理念と経営陣や上司の行動が乖離していると、社員は不信感を募らせます。

企業理念を具体的な行動に落とし込み、経営陣も含めた全員が守ることで、企業文化が形成されます。

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2. 人材が不足している

組織課題としての人材不足は、多くの企業が採用がうまくいかないからだと考えがちですが、実は辞める人が多いことや生産性の低下が根本原因であるケースが大半です。

短絡的に採用を増やすよりもDX・ツールを導入して生産性を高めたり、不満の原因を改善することで離職率を下げたりするほうが、コストパフォーマンスが高いです。

人が足りないと感じる真因を突き止めることが根本的な改善につながります。

3. 評価制度への不満が多い

評価制度への不満は、給料が低いことではなく、評価の理由が不透明で納得できていないことで生まれます。

評価基準があいまいで具体的に何をすれば評価が上がるのかわからなかったり、評価者によって評価基準にバラつきがあったりすると従業員は公平さを感じられません。

1on1ミーティングでの課題共有や客観的な事実に基づくフィードバックをすることで、評価に納得感を持ちやすくなります。

4. 心理的安全性がない

心理的安全性がないとは、社員が意見を言ったり失敗を報告したりすると、自分が怒られたりバカにされたりするのではないかと怯えてしまい、口をつぐんでいる状態です。

心理的安全性がない状態が続くと、ミス隠しによる大事故や、イノベーションの停滞に直結します。

管理職やリーダーが自ら弱みを見せて話しやすい雰囲気を作ると、心理的安全性を作れます。

ミスをした場合も犯人捜しをするのではなく、仕組みを改善することに焦点を当てましょう。

5. 情報が断絶している

情報の断絶は経営陣と現場、もしくは部署間で発生しやすいです。

情報が断絶すると、現場が経営の意図を理解せずに動いたり、隣の部署が何をしているか知らず、似たような作業を繰り返したりします。

議事録やマニュアルなどは全社員に公開できる場所に保管し、ジョブローテーションやフリーアドレス制を活用し、他部署のスタッフと交流させることで風通しの良い組織となります。

6. 業務の生産性が低い

生産性が低い原因としてDXの遅れや目的があいまいな会議、残業の美徳化などが挙げられます。

誰が何に時間を使っているかを可視化し、不要な業務を廃止もしくは簡素化しましょう。

評価指標を何時間働いたかではなく、どのような成果を得たかに変えることで、残業を抑制できます。

無駄な作業をなくし、コア業務に時間を使えるように調整することが大切です。

組織課題を洗い出す方法

組織課題の洗い出しには定量調査と定性調査の2種類があります。

定量調査・従業員サーベイ
・勤怠
・人事データの分析
定性調査・1on1ミーティング
・退職者インタビュー

まず定量調査で傾向を特定し、スコアが低い部署を中心に定性調査を実施し深掘りしましょう。

1. 従業員サーベイ

従業員サーベイとは、企業が従業員の満足度や意識、エンゲージメントの状態を把握するために実施する調査のことです。

従業員サーベイを実施することで、組織課題を早期に見つけられます。

実施後は結果を社員に開示し、スコアが低い項目に対して改善することで、社員との信頼関係が強まります。

2. 勤怠・人事データの分析

勤怠・人事データは、組織のどこに課題が生じているかを教えてくれます。

残業時間や有給休暇の取得率、欠勤数といった勤怠データから、スタッフ不足やモチベーション低下のリスクを読み取れ、人事データからは評価制度の不満や社員教育の失敗などの課題が見えます。

定期的にモニタリングし、特定の部署で残業が急増したり、若手の離職が続いたりといった変化の兆候を早期に発見できるようにしましょう。

3. 1on1ミーティング

1on1ミーティングでは、従業員サーベイではわからない理由や感情の機微を吸い上げられます。

一人の部下の発言は愚痴とも考えられますが、複数の部下が似たような発言をすれば組織課題とみなされます。

評価面談とは切り離し、本音を話しても不利益にならないと安心させることが重要です。

部下の話を否定せず、個人の悩みとして傾聴する姿勢を持ちましょう。

4. 退職者インタビュー

在職中の社員は、今後の関係や評価を気にして建前しか言わないことが多いですが、退職が決まった社員は組織の欠陥を正直に話してくれる可能性が高いです。

なぜ辞めるのかを本音で聞くことで、組織課題が見つかります。

退職者の本音を引き出すには、直属の上司以外の人物がインタビュアーとなり、会社の未来のためにお願いする姿勢が必要です。

組織課題を解決する方法

組織課題を解決していくには「優先順位決め」→「アプローチの選定」→「実行と定着」のプロセスが必要です。

組織課題の解決は、単にツールを入れたり制度を変えたりするだけでは不十分で、最終的に人の行動や意識が変わらなければ解決したことになりません。

具体的な解決のステップと、効果的なアプローチ手法を解説します。

1. 組織課題の優先順位を決める

洗い出した課題すべてを同時に着手すると、リソースが分散し、現場が混乱して失敗します。

緊急度と重要度でマッピングし、ボトルネックとなる課題を特定しましょう。

たとえば、若手の離職が多い課題がある場合、評価制度の不明確さが原因なら、離職対策よりも評価制度の改定を優先する必要があります。

2. 組織課題に対するアプローチ手法を選ぶ

解決策は大きく分けて、即効性のあるハード面のアプローチと、時間はかかるが根本治癒になるソフト面のアプローチがあります。

ハード面のアプローチ・部署の統廃合
・指揮命令系統の変更
・ITツール導入
・無駄な会議の廃止
・リモートワーク規程の作成
ソフト面のアプローチ・1on1ミーティングの定着
・ビジョン
・ミッションの浸透
・マネジメント研修
・ランチ会補助
・ピアボーナス

仕組みや構造を変えるハード面のアプローチは強制力があり、変化が目に見えやすい方法です。

意識・関係性を変えるソフト面のアプローチは、人の感情や価値観に働きかけます。

即効性はありませんが、組織風土を変えるには必須です。

3. 解決策を実行し定着させる

解決策を決めて発表するだけでは、現場は反発します。

「この課題を放置すると会社はどうなるか」「解決するとどんないいことがあるか」というストーリーで変更する理由を伝えましょう。

現場で信頼されているリーダーや古株社員をプロジェクトに巻き込み、彼らからポジティブな発信をしてもらいます。

実施した施策は3か月〜半年ごとにサーベイや面談を行い、数値などの改善状態を確認します。

組織課題を解決するフレームワーク

集めた情報を整理し、抜け漏れなく課題を特定するためにフレームワークを使います。

ここでは3種類のフレームワークを紹介します。

1. マッキンゼーの7S

組織をハードとソフトの7要素に分け、どこに歪みがあるかを探します。

ハードの3S・Strategy(戦略)
・Structure(組織構造)
・System(システム・制度)
ソフトの4S・Shared Value(共通の価値観)
・Skill(スキル)
・Staff(人材)
・Style(社風・スタイル)

ハードの3Sは経営陣がすぐに変えられますが、ソフトの4Sが変わるには時間がかかります。

ハードを改善したら、ソフトも変わるまで中長期的な計画を立てましょう。

すべての施策がShared Valueと矛盾していないことが大事です。

2. ミッション・ビジョン・バリュー

組織課題の多くは判断基準の不一致から生じるため、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)で統一します。

ミッション社会に対して何を果たすために存在するのか?
ビジョン将来、どういう姿になっていたいか?
バリュー日々どう行動すべきか?

採用基準や評価基準、迷ったときの判断基準としてすべての施策のトップにMVVを置きます。

MVVは抽象的なため、各部署で具体的な言葉に落とし込むことで社員が行動しやすくなります。

3. SWOT分析

SWOT分析は、組織課題を内部環境と外部環境のズレとして捉え、修正点を特定するのに役立ちます。

内部環境・Strength(強み)
・Weakness(弱み)
外部環境・Opportunity(機会)
・Threat(脅威)

弱みとして書き出した項目が組織課題となります。

クロスSWOT分析を行い「弱み×機会(チャンスを逃している弱み)」と「弱み×脅威(放置すると倒産する弱み)」を洗い出し、組織課題の優先順位を決めましょう。

組織課題の解決には従業員の理解が必要

組織課題を解決するためには、制度やシステムの整備だけでは不十分です。

優れた戦略であっても、実行するのは現場の社員だからです。

経営陣が一方的に変化を強いても従業員が目的を理解していなければ、施策は形骸化し、組織の歪みは解消されないままとなります。

従業員一人ひとりが課題を自分事として捉え、納得して動くことが不可欠です。

対話を通じて共感を得ることが課題解決につながります。

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Finding an apprenticeship – Frequently Asked Questions(FAQ)

FAQ・よくある質問

社員の評価制度への不満はどう解決すればいい?

評価制度への不満の原因は、なぜその評価が下されているかが不透明で、評価者によって恣意的に決められていると感じられることです。

1on1ミーティングでの課題共有や客観的な事実に基づくフィードバックをすることで、評価に納得感を持ちやすくなります

組織課題の解決策をスムーズに実行するコツは?

組織課題の解決策を実行するコツは、社員にストーリーを語ることです。

「この課題を放置すると会社はどうなるか」「解決するとどんないいことがあるか」というストーリーで変更する理由を伝えることで、社員の理解が得られて実行しやすくなります。

実施した施策は3か月〜半年ごとにサーベイや面談を行い、数値などの改善状態を確認します。

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