企業理念とは企業の成長に必要!策定目的や作り方、浸透のコツを解説

企業理念とは企業の成長に必要!策定目的や作り方、浸透のコツを解説

企業理念とは組織の方向性を示すものです。

企業理念は社員のモチベーション向上や企業文化の形成に重要な役割を果たしますが、リモートワークの普及により意思統一が難しくなる中で、企業理念の重要性が高まっています。

この記事では、企業理念を制定しようと考えている経営者のために必要な理由や具体的な作成方法、社内への浸透のためのポイントを詳しく解説します。

組織が一丸となって、理念に基づいた行動をとることが大事です。

企業理念とは簡単に説明

企業理念とは、企業の目指すべき方向性や存在意義を示す基本的な考え方です。

企業活動の根本となり、時代や環境が変化しても変わることのない普遍的な価値観や信念を表明し、すべての企業活動の指針となります。

企業理念を構成する5種類の要素

企業理念の主要な構成要素は、ミッション・ビジョン・バリューの3つです。

3つの要素に加えて、スピリットとスローガンも構成要素として含まれます。

ミッション・企業の社会的使命と存在意義
・企業が社会に対して果たすべき役割や提供する価値
ビジョン・企業が目指す未来像や到達したい目標
・社会や世界の未来を含めた理想の将来を描いたもの
バリュー・企業が大切にする価値観や行動指針
・企業活動の基礎となるもの
スピリット・企業の精神や心構え
・企業文化の核となる要素
スローガン・企業理念を端的に表現したキャッチフレーズ
・要素を簡潔にまとめ、わかりやすく伝えるための文言

構成要素は必ずしもすべてを含める必要はなく、企業の特性や目的に応じて適切な組み合わせを選択することが重要です。

企業理念と経営理念・パーパスの違い

企業理念は企業の基本的な価値観を示すものですが、経営理念は経営者の信念や経営の目標、方針を示すものです。

また、パーパスは社会の中で企業の存在意義を示しており、社会課題の解決や地球環境の保全への貢献を考えたものです。

企業理念・経営理念・パーパスの特徴を比較しました。

主な特徴視点変更可能性
企業理念企業の基本的価値観企業中心不変的
経営理念経営の具体的方針経営者中心可変的
パーパス社会的な存在意義社会中心長期的

パーパスは経営理念や企業理念と比べて、消費者や社会全体の視点を重視します。

また、企業理念とパーパスは本質的な存在意義を問うのに対し、経営理念は具体的な経営戦略や方針のことです。

企業理念を作成する目的3つ

ここでは、企業理念を作成する目的を説明します。

企業理念は経営の軸や従業員の行動指針となり、対外的には自社独自の価値の発信をするものです。

耳障りの良い言葉を選ぶのではなく、自社の思いや価値を伝えることが大事です。

1. 意思決定の基準となる

企業理念は企業が目指すべき方向性を示すもののため、トラブルや問題が発生したときの判断基準となります。

企業理念が社内に浸透すると社員一人ひとりが同じ基準で判断できるようになり、一時的なトレンドに左右されずに一貫した判断が可能です。

判断のブレが減少するため、業務の優先順位付けや意思決定のスピードが速まり、社内外からの信頼構築にも役立ちます。

2. 自社の方向性を示す

会社にはさまざまな価値観を持つ人が所属しているため、企業理念を作成することで組織全体の価値観を統一でき、同じ方向を向いて進めます。

また、企業の目的や存在意義を明確に示すことにより、社員は仕事に対するモチベーションが向上し、自社のために使命感を持って仕事に取り組むようになります。

企業理念は組織の求心力としても機能しているのです。

3. 企業の存在意義を社会に表明する

企業理念の作成は、顧客や取引先、投資家などのステークホルダーに対して企業の方向性を示すことにつながります。

単なる利益追求ではなく、企業理念を通して社会に対してどのような価値を提供するのかを示すことで、社会からの理解と信頼を得られます。

社会から必要とされる企業として認知されれば、ブランド価値の向上につながるでしょう。

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企業理念の作り方4ステップ

企業理念の作り方を説明します。

  1. 目的を明確化する
  2. 構成要素を検討する
  3. 他社の企業理念を研究する
  4. 企業理念を作成しブラッシュアップする

企業理念を一から作るのは時間がかかりますが、全社員を巻き込んで制定することで理念の理解や浸透が早くなります。

1. 目的を明確化する

企業理念を作成するには「なぜこの企業が存在するのか」「どのような価値を社会に提供するのか」という根本的な問いに向き合う必要があります。

自社の強みや独自性、市場での位置づけを客観的に分析し、社会における役割を明確にしましょう。

ステークホルダーに提供する価値だけでなく、社会課題の解決や持続可能な社会の実現への貢献などの長期的な視点も重要です。

2. 構成要素を検討する

自社の企業理念を構成する要素の内容を考えます。

ミッション・企業の存在目的は何か
・日々果たすべき使命は何か
・社会にどのような価値を発信するのか
ビジョン・将来どのような企業になっていたいか
・どのような影響力を社会に行使したいか
・目指す理想的な将来像は何か
バリュー・企業として大切にする判断基準は何か
・従業員が共有すべき価値観は何か
・どのような行動指針を持つべきか
スピリット企業の精神性をどのように表現するか
スローガン要素を簡潔に表現し、わかりやすい言葉にまとめる

構成要素を総合的に検討し、企業の独自性と社会的価値を反映した企業理念を作りましょう。

3. 他社の企業理念を研究する

他社の企業理念を研究する際には、構成要素や表現方法に注目します。

企業の存在意義や社会的価値がどのように表現されているか、ステークホルダーへの配慮がどのように示されているかを分析しましょう。

表現方法についてはシンプルさやわかりやすさ、独自性が大事です。

他社の企業理念を調べることで、自社オリジナルの企業理念作成に活かせます。

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4. 企業理念を作成しブラッシュアップする

企業理念案を複数作成し、それぞれの案が自社にふさわしいか比較検討します。

企業理念は組織全体の指針となるため、従業員の意見も取り入れて全社員を巻き込むような策定プロセスが適切です。

作成した後も定期的に見直しを行い、改善していきましょう。

企業理念を浸透させる3つのコツ

企業理念は作成して終わりではありません。

社内や外部に浸透させる必要があります。

ここでは、企業理念を浸透させるためのコツを説明します。

ポイントを押さえて企業理念を浸透させ、組織の一体感を強化させましょう。

1. 経営層が企業理念を体現する

企業理念を従業員に浸透させるためには、経営層が自ら理念を体現し、言葉と行動で示すことが大事です。

経営層の言動は社員の行動モデルとなり、理念に基づく行動が組織全体に波及します。

社内報などでの定期的なメッセージ発信やイベント・研修での発言を通じて、理念を自らの言葉で伝え続けましょう。

2. 企業の歴史やストーリーを伝える

単なる理念の提示よりも自社の歴史やストーリーを伝えることで、社員は企業理念を深く理解しやすくなります。

ストーリーは共感を生みやすく、具体的なエピソードを通じて理解することで、長期的な記憶として定着します。

社員が企業理念と自分の仕事との関連性を理解し、組織が同じ方向を向いて進んでいけるでしょう。

3. 理念に沿った行動の評価制度を設定する

理念に沿った行動を評価制度に組み込むことで、抽象的な理念を具体的な行動指標として示すことができ、社員が日々の業務で何をすべきかを明確に理解できるようになります。

また、成果だけでなくプロセスも評価されるため、公平性が保たれ社員のモチベーションが高まります。

評価制度を通じて企業文化が形づくられ、理念に基づく行動が日常的に実践されることで、持続的な組織の成長が実現できるでしょう。

企業理念の事例3選

3社の企業理念を紹介します。

他社の企業理念を知ることで、ミッション・ビジョン・バリューなどの要素の組み立て方や表現方法だけでなく、成功している企業の理念がどのように機能しているかが学べます。

独自性のある企業理念を作成するために、他社の事例を参考にしてください。

1. トヨタ自動車

トヨタの企業理念は「人・社会・地球環境との調和を図り、モノづくりを通して持続可能な社会の実現を目指します」です。

7項目ある『トヨタ基本理念』は、国際社会への貢献や各国文化の尊重、世界中の顧客ニーズへの対応など、グローバルな視点で作成されています。

企業理念を「トヨタウェイ」や「行動指針」として具体化し、従業員の日常業務に直接結びつけています。

参考:トヨタ自動車75年史『企業理念概要』

2. ソフトバンクグループ

ソフトバンクグループの企業理念は「情報革命で人々を幸せに」です。

この理念には、情報革命を通じて人類と社会への貢献を推進し、「テクノロジーを通じて、世界中の人々がより幸せで充実した生活を送れるように」との思いが込められています。

ソフトバンクは300年間成長し続ける企業グループを目指し、AIやテクノロジーの進化を見据えた未来志向の理念を作成しています。

参考:SoftBank Group『経営理念』

3. リクルートホールディングス

リクルートホールディングスの基本理念は「私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す」です。

リクルート事件を契機に「商業的合理性」ではなく「新しい情報価値の創造」の追及に経営理念が変更されました。

その後、企業理念の価値観は1989年から20年以上にわたって一貫して継続されており、一人ひとりが社会の課題に向き合い、より良い未来に向けて行動することを推奨しています。

参考:リクルートホールディングス『コーポレート・ガバナンス』

企業理念とは組織の一体化に必要なもの

企業理念は組織の一体化を実現するための重要な基盤です。

企業理念を通じて社員全員が同じ目標や価値観を共有することで、部門や役職を超えた一貫した行動が可能となります。

社員のモチベーション向上にも寄与し、自分の仕事が企業の目的や社会的価値の実現につながっているという実感を持つことで、使命感を持って仕事に取り組めるようになるでしょう。

企業理念は組織の求心力として機能し、企業の持続的な成長を支える重要な役割を果たしています。

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