顧客に自社商品を購入し続けてもらうには、ポジショニング戦略を十分に練っておく必要があります。
ポジショニング戦略を立てる際には、「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニングマップの作成」「自社のポジショニングの決定」「競合との差別化施策の検討」の5段階で進めるのが基本です。
ポジショニング戦略を成功させるために必要な5つのポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
ポジショニング戦略とは
はじめに、ポジショニング戦略とはそもそもどのような戦略かを整理しておきます。
ポジショニング戦略を立てる目的やブランディング戦略との違いを押さえましょう。
「指名買い」し続けてもらうための戦略
ポジショニングとは、市場において自社の商品・サービスを競合よりも優位に位置づけることを指します。
顧客から「指名買い」し続けてもらうための戦略こそが、ポジショニング戦略と捉えてください。
市場には膨大な数の商品・サービスが溢れています。
多くの商品群の中から自社商品を選んでもらうには、各分野の商品群において自社商品を第一に想起してもらうことが重要です。
自社商品を真っ先に思い浮かべてもらい、「指名買い」を続けてもらう上で不可欠な戦略がポジショニング戦略といえます。
ポジショニング戦略を立てる目的
見込み顧客に自社商品を選んでもらうには、次の条件を満たす必要があります。
- 見込み顧客が自社商品の存在を認知していること
- 他社商品との違いが明確になっていること
- 見込み客のニーズや要望を満たす商品として認識されていること
上記の条件を満たしている商品は、見込み顧客にとって「選ぶ必然性のある商品」といえます。
偶然にも見込み顧客から選ばれることを期待するのではなく、相手の心理を先読みしてイメージを形成していくことが重要です。
見込み顧客の「選ぶ必然性」を意図的に醸成していくことが、ポジショニング戦略を立てる主な目的といえます。
ポジショニング戦略とブランディング戦略の違い
ブランディング戦略とは、生活者に自社や商品のイメージを浸透させ、統一化を図るための戦略のことを指します。
見込み顧客が自社商品を第一に想起するには、そもそも商品に対するイメージが形成されていなければなりません。
見込み客に狙いどおりのイメージを形成することが、ブランディング戦略を講じる主な目的と捉えてください。
自社が望むイメージを浸透させるには、市場における自社の立ち位置が明確になっている必要があります。
ポジショニング戦略は、ブランディング戦略を成功させるために必要な取り組みの一環といえるでしょう。
ポジショニング戦略の立て方
ポジショニング戦略を立てるには、具体的にどのような手順で進めればよいのでしょうか。
基本的な手順について解説します。
セグメンテーションを行う
ポジショニングは、マーケティング領域で用いられるフレームワークである「STP分析」の1つです。
STPとはセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングのことを指します。
見込み顧客の属性や抱えている課題、ニーズなどに応じて市場をグループ分けする工程がセグメンテーションです。
セグメンテーションにおいては、一般的に下記の4軸によって市場を細分化します。
- 地理的変数:地域・人口・気候・文化など
- 人口統計的変数:年齢・性別・職業・家族構成・収入など
- 心理的変数:価値観・ライフスタイル・嗜好など
- 行動変数:購入頻度・主な用途・買い替えサイクルなど
以上の要素を分析した上で、市場規模が十分か、実際にニーズがあるかを見極めておくことが大切です。
ターゲティングを行う
ターゲティングとは、分割したセグメントの中から訴求すべき市場を選ぶことを指します。
具体的には、以下の基準にもとづいてターゲットとすべき市場を選定するのが一般的です。
- 市場の規模や成長性
- 競合となる企業数や優位性
- ターゲットへのアプローチが可能か
現状の市場規模だけでなく、今後の成長性にも着目しておく必要があります。
競合に関しては多すぎるのも問題ですが、あまりにも競合が少ない・存在しない場合には注意が必要です。
そもそもニーズが乏しかったり、収益化が見込めない市場であったりする可能性があります。
自社がアプローチ可能な市場であるかどうかも重視してください。
例えば、富裕層が主なターゲットの場合、富裕層にアクセスするための見込み顧客リストやタッチポイントが不可欠です。
アプローチするための現実的な手段が皆無だったとすれば、ターゲットとしては適切ではないと考えるべきでしょう。
ポジショニングマップを作成する
セグメンテーションとターゲティングの結果を元に、ポジショニングマップを作成します。
ポジショニングマップとは、自社および他社の立ち位置が視覚的にマッピングされた図のことです。
具体的には、見込み顧客が購入時に重視する2つの要素を決め、それぞれの要素を縦軸と横軸に設定します。
一例として、「高価格・低価格」「機能性重視・デザイン性重視」といった2軸が想定されるでしょう。
2軸によって分けられた4象限に、自社・他社の商品・サービスを配置していきます。
自社の主観や願望ができるだけ混在しないよう、商品レビューなど顧客から実際に得られた情報を元に配置することが重要です。
自社のポジショニングを決定する
完成したポジショニングマップを見ながら、自社のポジショニングを決定していきます。
複数社が密集しているエリアは、競合が多く新規参入が容易ではない可能性が高いでしょう。
反対に、競合他社が少ないエリアや空白のエリアは、参入する余地が残されていると考えられます。
自社の立ち位置が複数の競合と重なっているようなら、立ち位置を変える戦略への転換を図るのも1つの考え方です。
現状における自社・他社の立ち位置を把握した上で、差別化戦略を構築していくことが求められます。
競合との差別化施策を検討する
ポジショニングマップによって可視化された市場の状況を元に、競合との差別化施策を検討します。
仮に「高価格で機能性を重視した商品」と「高価格でデザイン性を重視した商品」が市場を占有していたとしましょう。
「最小限の機能を備え、比較的低価格で独自性の高いデザインの商品」が空白の状態なら、参入の余地があると考えられます。
機能を削ぎ落とし、デザインを尖らせるという戦略が見えてくるはずです。
参入余地があり、かつ自社の強みが活かせる市場であれば、有効な差別化施策となり得ます。
ポジショニング戦略の成功に必要な5つのポイント
ポジショニング戦略を成功させるには、いくつか意識しておきたいポイントがあります。
特に重要度の高い5つのポイントを押さえておきましょう。
市場規模を必ず確認する
自社が闘うべき市場を絞り込む際には、必ず市場規模を調査しておくことが大切です。
競合他社が極めて少ない・競合が存在しない市場が見つかった際には、「なぜ競合がいないのか」を十分に分析する必要があります。
そもそも市場が小さすぎたり、ニッチすぎたりするために、他社が進出していない可能性もあるからです。
空いているポジションは、いずれも収益性が保証されているとは限らない点に注意してください。
市場のニーズを把握する
ポジショニングマップを作成する際には、市場のニーズを把握した上で2軸を設定するのがポイントです。
よくある失敗として、自社にとって差別化を図りやすい・強みを発揮しやすい要素を採用してしまうケースが挙げられます。
例えば、独自性の高いデザインが自社の強みと認識している場合、デザインで差別化できると考えがちです。
実際のところ、消費者が機能性と価格を重視しているようなら、デザインが差別化要因となる可能性は低いといわざるを得ません。
既存顧客を対象にアンケート調査を実施するなど、客観的なデータにもとづいてニーズを把握することが大切です。
ポジショニングマップは関連性の低い2軸で作成する
ポジショニングマップに採用する2軸は、相互に関連性の低い要素を選ぶことが重要です。
「品質と価格」「高級感と価格」といった要素はいずれも関連性が高いことから、実質的に判断軸が1つになってしまいます。
相互に影響を及ぼしにくい2軸を設定し、自社・他社の立ち位置を可視化することがポジショニングマップを作成する目的です。
2軸によって分割された4象限のうち、どの象限にも商品・サービスが存在し得ることを確認しておく必要があります。
自社のコンセプトや理念との整合性を意識する
自社が取り得るポジションが決まった際には、自社のコンセプトや理念との整合性を確認しておくことが大切です。
「市場が空いている」という理由のみで戦略を構築してしまうと、既存顧客の信頼を失いかねません。
例えば、高品質の商品を供給し続けてきたことが強みの企業があるとします。
仮に低価格帯の市場に競合が少なかったとしても、品質を落としてまで低価格化を目指すべきではないでしょう。
いわゆる「安かろう悪かろう」の商品を提供した結果、顧客を失望させてしまうおそれがあるからです。
自社が大切にしてきたコンセプトや理念と大きく異なる戦略にならないよう、改めて方向性を確認しておく必要があります。
成果が出ない場合には戦略を見直す
ポジショニング戦略は、一度策定すれば半永久的に効果を発揮し続けるとは限りません。
戦略にもとづいて施策を実行した結果、想定していたほどの成果が現れないようなら、戦略を見直す必要があります。
ポジショニングを見直す際には、下記のポイントを確認しておくことが重要です。
- セグメンテーションで見落としていた要素はないか
- ターゲティングの判断基準は適切だったか
- ポジショニングマップの2軸はニーズを踏まえていたか
- 市場規模やニーズの有無を見誤っていなかったか
実際、ポジショニングを見直すことによって市場の反応や成果が大きく変わるケースは決してめずらしくありません。
一度決めたポジションに執着せず、PDCAサイクルを回して適宜改善や軌道修正を図っていくことが大切です。
まとめ
競合に埋もれることなく自社商品を選んでもらう上で、ポジショニングは重要な鍵を握る戦略といえます。
せっかく良い商品・サービスを保有していても、訴求する相手を見誤ってしまうと売上不振に陥りかねません。
今回紹介したポジショニング戦略の立て方や成功のポイントを参考に、自社商品を効果的に訴求する戦略を打ち立ててください。
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