コラム 
税理士の集客方法には、ホームページやSNSなどのオンライン施策以外にもセミナーや紹介営業などのオフライン集客が有効です。
小規模の税理士事務所であっても、得意分野に特化し、問合せ対応やフォローアップを充実させることで集客アップは可能です。
ターゲットを絞り、顧客ニーズに沿ったサービスを作りましょう。
大手事務所や経理ツール台頭で集客が難しい税理士事務所は集客戦略の参考にしてください。
税理士が集客できない3つの理由
税理士が集客に困っている理由は主に3点です。
- AIやツールで代替できてしまう
- 万人受けを狙ったサービスになっている
- 問い合わせ窓口がわかりにくい
集客を成功させるにはターゲットを明確に設定し、顧客ニーズに応えるサービス設計を行う必要があります。
1. AIやツールで代替できてしまう
AIや会計ツールの進化により、領収書の画像読み込みや仕分け処理などの単純作業が自動化されつつあります。
対話型AIを使えば税務や会計に関する基本的な情報を簡単に入手できるため、単純な税務相談で税理士に依頼する人が減少するだろうと考えられています。
単純な記帳代行や税務申告だけでは顧客を惹きつけることが困難なため、高度な経営アドバイスや戦略的な税務プランニングなどの、AIやツールでは対応できず付加価値の高いサービスにシフトすることが必要です。
2. 万人受けを狙ったサービスになっている
税理士事務所の集客には、バリュープロポジション（顧客に提供する独自の価値）が重要です。
万人受けを狙うと他の事務所との差別化が困難になり、顧客ニーズに沿った対応ができなくなります。
ターゲットを明確に設定し、顧客の悩みに応じたアドバイスができるサービスを提供することで、競合との差別化ができます。
3. 問い合わせ窓口がわかりにくい
問い合わせ窓口は見込み顧客との大事な接点です。
Webサイトに問い合わせフォームへのリンクや電話番号が設置されていても、ユーザーにとってわかりにくければ問い合わせに至りません。
問い合わせフォームが長すぎたり、必要以上の情報を書かせたりすることも、見込み客の心理的負担が増えて問い合わせを躊躇させる原因となります。
税務に関する相談は個人的な内容を含むため、顧客は安心感と信頼感を求めています。
プライバシーへの配慮をし、初回相談無料などの特典をつけて問い合わせに対する敷居を下げる工夫が必要です。
税理士におすすめの集客方法7選
税理士におすすめの集客方法を7種類紹介します。
- ホームページ
- SNS
- Web広告
- MEO
- ダイレクトメール
- セミナー
- 紹介営業
税理士は地域密着型ビジネスの要素が強いですが、オフライン集客だけでなくオンラインの施策にも力を入れることで、顧客に認知されやすくなります。
1つの手法に固執するのではなく、複数の施策を取り入れて実践しましょう。
1. ホームページ
ホームページに事務所の特徴や実績、顧客の声などを掲載することで、税理士事務所の信頼性を高められます。
ホームページには専門的な知識や顧客ニーズに沿った情報をコンテンツ化すると、競合との差別化を図り自社の強みをアピールできます。
SEO対策やSNS発信などによってホームページへの流入を増やし、安定的な集客を目指しましょう。
SEO集客で見込み顧客にアプローチ！メリット・デメリットと強化方法を解説
2. SNS
SNSはプラットフォームによってメインユーザーの属性や発信方法が異なるため、それぞれの特性に合わせたアプローチを行います。
| X（旧Twitter） | ・テキストメインでの発信 ・拡散力が高い |
| ・ビジネスパーソンや経営者のユーザーが多い ・本名登録が原則のため、信頼性が高くなる | |
| ・画像やリール（ショート動画）での発信 ・24時間で消えるストーリーズでイベント告知がしやすい | |
| YouTube | ・幅広い世代に視聴される ・長尺動画で多くの情報を提供できる |
| TikTok | ・ショート動画で気軽に視聴される ・フォロワーが少なくても拡散されやすい |
SNSはユーザー同士のコミュニケーションがとれるため、見込み顧客からコメントや質問をもらいやすく、関係構築を深められます。
SNSで発信する際は税理士個人の人柄や事務所の雰囲気、税務処理や業界の最新情報などの税理士に関する内容に統一し、ブランディングを一貫させることが重要です。
3. Web広告
Web広告には精度の高いターゲティング機能があります。
自事務所の商圏限定やユーザーの属性に基づいた広告配信、税務や会計に関する情報を検索したユーザーへの広告表示など、目的に合わせた広告出稿が可能です。
Web広告は即効性がありデータ取得が容易なため、A/Bテストを実施して定期的に効果を測定し、広告内容や配信設定を改善できます。
PDCAを繰り返し、最も効果の高い広告を出稿しましょう。
4. MEO
MEO（Map Engine Optimization：マップエンジン最適化）とは、Googleマップで自社の店舗やビジネス情報を上位表示させるための最適化施策です。
税理士事務所は地域密着型ビジネスのため、Googleマップに事務所を表示させることで、近隣住民や就業者に認知してもらいやすくなります。
MEOでの集客は同じエリア内の税理士事務所のみが競合となるため、SEOよりも競合が限定的であることがメリットです。
MEOによりGoogleマップに上位表示できれば、「税理士に相談したい」というニーズを持つ顧客に直接アプローチできます。
Googleマップの上位表示を狙うには、Googleビジネスプロフィールに情報を充実させることが重要です。
Googleマップで検索したユーザーの76%が当日中にその企業を訪問しているというGoogleの調査結果があるため、積極的にMEO対策を実施しましょう。
MEO集客で来店数増加を目指す！地域密着型ビジネスが活用できるMEO対策を解説
5. ダイレクトメール
ダイレクトメール（DM）は、新設法人や商圏に絞ったアプローチができます。
新設法人は顧問税理士を契約していないことが多いため、法人設立直後の税務手続きや法人向け節税対策の情報などを提供し、無料相談や顧問契約につなげましょう。
新設法人支援の実績や専門分野などを紹介すれば、信頼感が醸成されます。
経営者が抱える不安や課題に寄り添った内容を盛り込み、視覚的に読みやすいダイレクトメールを作成することが重要です。
6. セミナー
セミナーは見込み顧客と直接会って、税理士自身の話しやすさや信頼性などの人柄を直接伝えられる機会です。
お互い顔を見られるからこそ、顧客が感じる税理士に対する不安や疑問を解消できます。
セミナーの目的とゴールを設定し、参加者のニーズに合わせた内容を提供しましょう。
セミナーを実施する際には参加者アンケートを実施し、フォローアップすることで長期的に関係構築が可能となり、成約率を高められます。
7. 紹介営業
紹介営業とは、既存顧客や知人などの繋がりのある人物から新たな見込み顧客を紹介してもらう営業手法です。
既存顧客との信頼関係を強め、紹介してもらいやすい環境を作りましょう。
紹介ネットワークを構築できれば、他の税理士事務所には真似できない強みとなります。
紹介者への感謝の気持ちを示すことで、さらなる紹介につながる好循環を生み出す可能性が高いです。
紹介で集客力アップ！お友達紹介キャンペーンの方法や成功事例を解説
税理士が集客を成功させるためのポイント3つ
税理士が集客を成功させるために押さえておきたいポイントを説明します。
- 特定の分野に特化する
- サービスのパッケージを作成する
- フォローアップを強化する
日本税理士会連合会の調査によると、直近20年で税理士の数は約2万人増え、年々増加傾向にあります。
税理士事務所が飽和傾向にあるため、集客成功には他事業所との差別化が重要です。
自事業所の強みと顧客のニーズが合致する分野を探し、丁寧な関係構築を行いましょう。
1. 特定の分野に特化する
特定分野に特化することで、ターゲットを絞った営業活動ができます。
税理士は税務や会計など幅広い業務があり、業界によっても必要な知識が異なるため、特化すれば専門性が高くなり的確なサポートが可能です。
| 医療業界 | ・医療機器の減価償却 ・診療報酬の会計処理 ・開業支援 |
| 不動産業界 | ・固定資産税の処理 ・不動産ポートフォリオの最適化 ・相続対策 |
| IT業界・スタートアップ企業 | ・資金調達支援 ・株式公開に関する会計 ・税務アドバイス ・ストックオプション対応 |
| 農業 | ・補助金活用支援 ・税制優遇措置の情報提供 ・事業承継対策 |
特定業種に特化した税理士は、その業界特有の複雑な問題に対応できる専門知識を持っているため、高度なサービスを提供できます。
市場で独自のポジションを確立し、長期的な競争力の維持につながります。
2. サービスのパッケージを作成する
サービスのパッケージ化は、税理士が提供する価値を明確に示し、クライアントのニーズに応える手法です。
パッケージは価格設定がわかりやすく、顧客はコストパフォーマンスを理解できるため、安心してサービスを選択できるでしょう。
複数のサービスをパッケージ化すると、クロスセルで売上アップを狙えます。
例えば、税務申告サービスを利用している顧客に対して、財務分析サービスや経営コンサルティングを提案すれば、顧客の事業全体をサポートできます。
3. フォローアップを強化する
基本的なサービス提供だけでなくフォローアップを行うことで、顧客との関係維持が可能です。
定期的なフォローアップにより顧客との接点が増えるため、顧客は新たな課題や相談ごとを持ちかけやすくなり、税理士にとってはニーズや課題を把握し、適切なサポートを提供できる機会が増えます。
フォローアップは面談だけでなく、メールマガジンやダイレクトメールなどでの情報提供も含まれます。
顧客の連絡先を入手したら、定期的に情報発信を行いましょう。
リピーター獲得に有効なマーケティング施策とは？業種別の取組ポイントも紹介
小規模な税理士事務所も集客力アップは可能
この記事では、税理士事務所の集客手法や成功する集客のポイントを説明しました。
小規模な税理士事務所でも集客力の向上は可能です。
セミナーや相談会を開催し、地元の中小企業や個人事業主との信頼関係を築きましょう。
ブログやSNSで税務や節税対策などの情報を発信することで、オンラインでも認知を高められます。
小規模だからこそのきめ細やかな対応と、税理士としての専門性を活かし、大手にはない独自の価値を提供することで集客力を高められるのです。
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