利益が赤字になっても会社が倒産するとは限りません。
利益には4種類あり、それぞれ赤字になる状況が異なります。
実は日本のほとんどの中小企業が赤字経営です。
中小企業の経営者の中には、決算書や損益計算書を税理士に任せている人も多いですが、利益がマイナスで赤字になってしまったときには、計画的に黒字化できるよう売上や経費などの数字を常日頃から意識しておくことが重要です。
この記事では、赤字からの脱却方法などについて説明します。
赤字とは?わかりやすく説明
赤字とは支出が収入より多い状態のこと、もしくは超過額のことを言います。
収入が支出よりも少ないため、利益がマイナスの状態です。
儲けが出ておらず、このままではビジネスを成長させることが難しくなってしまいます。
東京商工リサーチの2023年「倒産企業の財務データ分析」調査によると、2023年に全国で倒産した企業のうち68.0%の純利益が赤字でした。
利益がないため借入金に依存しやすく、ますます負債が増えてしまい資金調達ができなくなってしまいます。
赤字になっても即倒産することはありません。
資本金や資金調達が十分であれば、基本的に倒産しませんが、リスクは高まるので改善が必要です。
参考:株式会社東京商工リサーチ『倒産企業の約7割が最終赤字、債務超過 人件費上昇に追いつかない実態が鮮明に』
4種類の利益と赤字の状態
損益計算書上の利益には4種類あり、それぞれで赤字の状態が異なります。
- 売上総利益の赤字
- 営業利益の赤字
- 経常利益の赤字
- 当期純利益の赤字
赤字を改善するには、利益ごとに赤字の原因を探りましょう。
1. 売上総利益の赤字
売上総利益とは、売上から商品の仕入れや製造などにかかったコストを引いた利益のことです。
粗利とも言います。
売上総利益が赤字の場合は、売上金額よりも商品原価が多くかかってしまっている状態です。
売れば売るほど赤字になってしまうので、赤字を放置すると倒産のリスクが高まります。
売上総利益の赤字を改善するには、仕入れや製造にかかる費用の削減や利益が得られていない商品の販売を中止することが必要です。
収益改善とは?進める手順と効果的な方法、成功した企業事例を解説2. 営業利益の赤字
営業利益とは、売上総利益から販売費と一般管理費を引いた利益のことです。
販売費は広告費や販売促進費などで、一般管理費は光熱費や家賃、人件費などを含みます。
営業利益の赤字を改善するには、売上総利益を増やすか、販売費と一般管理費を削減しなければなりません。
一般管理費の人件費と家賃は大きなウェイトを占めますが、人件費を削減する場合は従業員のモチベーションを下げないように注意が必要です。
3. 経常利益の赤字
経常利益とは、営業利益に営業外収益を足し営業外費用を引いた利益のことで、企業活動全体で得た利益を指します。
営業外収益は本業以外からの収入や金利で得た利益などで、営業外費用は本業以外でかかった費用です。
支払利息や有価証券売却損などが挙げられます。
経常利益が赤字の場合、営業外費用が多すぎて利益で賄えていないため、借入金の元本を減らしたり、利率を下げてもらうよう交渉したりする必要があります。
4. 当期純利益の赤字
当期純利益とは、一定期間の最終的な利益のことです。
会社全体の収益から費用を引いたもので、会社の業績を示す大事な数値です。
当期純利益がマイナスの場合を当期純損失と言い、一般的に赤字企業と呼ばれます。
赤字が引き起こすデメリット4つ
赤字は利益がマイナスのため、さまざまなデメリットがあります。
- 社会的信用が低下する
- 税務調査を受ける可能性がある
- 倒産のリスクが高まる
- 従業員を不安にさせる
今回はデメリットを4点解説します。
1. 社会的信用が低下する
赤字は利益が出ていない状態のため、経営がうまくいっていないとみなされます。
赤字では借入金の返済能力がないと考えられるため、銀行が融資を断る可能性が高くなり、新規事業などを始められません。
赤字決算が続くと、株主や取引先などのステークホルダーからの信用も低下してしまいます。
2. 税務調査を受ける可能性がある
企業の中には法人税を逃れるためにわざと赤字決算をする経営者がいるため、赤字が続くと税務調査の対象になりやすいです。
実際は黒字なのに赤字に見せかけて決算している企業は追徴課税が取られるため、不正を行ってはいけません。
3. 倒産のリスクが高まる
赤字は会社のお金が減っている状態です。
赤字が続くと純資産よりも負債の方が多くなり、債務超過に陥ります。
お金がないので会社の体力が弱まり、資金が必要なときに融資を受けられず倒産する可能性が高くなります。
4. 従業員を不安にさせる
赤字が続くと「この会社は倒産するのでは」と従業員が不安になります。
自分の給料が下がるのではないか、リストラされるのではないかと会社に不信感を抱き、モチベーションが下がるでしょう。
結果として生産性が下がり、利益を上げにくくなってしまいます。
マーケティングセミナーで組織づくりを学ぶ意義とは?課題となりやすいポイントを解説赤字で得られる3つの節税効果
赤字は社会的信用が低下し、ビジネスを成長させる妨げになります。
基本的に赤字は良い状況ではありません。
しかし、節税の面では良い効果があります。
- 免除される税金がある
- 赤字を繰り越せる
- 赤字の繰り戻し還付を受けられる
赤字の節税効果について詳しく見ていきましょう。
1. 免除される税金がある
赤字決算になると、一部の税金が免除されます。
税金の種類によって免除されないものもあるので、下記にまとめました。
全額免除される税金 | ・法人税 ・法人事業税 ・地方法人税 ・特別法人事業税 |
一部免除される税金 | ・法人住民税 |
全額支払い義務がある税金 | ・消費税 ・源泉所得税 ・印紙税 ・登録免許税 ・固定資産税 ・自動車税(会社所有があれば) |
赤字決算で全額免除される法人税は、利益から課税所得を算出し税額が決まります。
赤字は利益がマイナスであるため、法人税の負担がありません。
なお、赤字決算でも課税所得額がプラスであれば、法人税などの支払い義務が生じます。
2. 赤字を繰り越せる
赤字は翌年度から10年間繰り越すことが可能です。
翌年度以降の課税所得は今年度の赤字を利益から差し引けるため、その分の法人税を抑えられます。
資本金が1億円以下の企業であれば全額繰り越しができますが、資本金が1億円を超えると所得金額の50%までしか繰り越しできません。
3. 赤字の繰り戻し還付を受けられる
赤字の繰り戻し還付とは、前年度が黒字で今年度が赤字だった場合、前年度分の法人税を還付してもらえる制度です。
前年度の黒字と今年度の赤字を通算するため、前年度の黒字が減ります。
そのため、前年度に払った法人税も減額となり、払いすぎた分が還付されるというものです。
赤字から脱却する6つの方法
ビジネスを成長させるには、赤字から黒字に転換しなければなりません。
赤字から脱却する方法を6種類紹介します。
- 無駄なコストを削減する
- 売上を上げる
- キャッシュフローを改善する
- 無駄な在庫を整理する
- 従業員満足度を向上させる
- リストラを実施する
自社でできることから取り組みましょう。
1. 無駄なコストを削減する
売上に対してコストがかかりすぎている場合、削減する必要があります。
不要な出費がないか見直しましょう。
原材料の仕入れ先を変更したり、効果の低い販売促進施策を中止したりして、無駄をカットしていくことが大事です。
コストが下がれば、売上額が同じでも利益が増えます。
2. 売上を上げる
売上を上げるには、5つのポイントがあります。
- 新規顧客の獲得
- 既存顧客の離脱防止
- 購入頻度の増加
- 顧客一人当たりの購入金額の増加
- 商品価格の見直し
顧客を増やし、顧客が支払う金額を増やせば売上を増やせます。
顧客ニーズに合った商品・サービスを提供し顧客と信頼関係を構築することで、自社が顧客から選ばれるようになります。
売上アップの方法については、以下の記事でも詳しく説明しているので参考にしてください。
売上を上げるには?売上アップのために意識すべきポイントと具体策を解説3. キャッシュフローを改善する
キャッシュフローとは、事業における入出金の流れのことです。
会社に現金がなくなれば支払い不履行となり倒産してしまいます。
入出金日がいつなのかを把握し、会社に現金がなくならないようにする必要があります。
支払いが遅い取引先があれば支払い日を早められるか交渉し、キャッシュフローを改善しましょう。
4. 無駄な在庫を整理する
有形商品の場合、原材料や商品を保管しなければならず保管コストがかかります。
保管コストをかけすぎないためには、在庫が不必要に増えないように注意が必要です。
定期的に棚卸や在庫チェックを行いましょう。
無駄な在庫があるときは、商品価格を調整して売り切ることも大切です。
5. 従業員満足度を向上させる
従業員のモチベーションが下がり生産性が低くなっている場合には、従業員満足度を向上させる必要があります。
経営理念やミッションなどの再教育や評価方法の見直しなどを行い、従業員が働きやすい環境を作ることが大事です。
従業員と経営陣の目指す方向性が一致すれば、従業員の自社への愛着がわき、生産性が高まります。
6. リストラを実施する
赤字の改善が見られない事業を縮小もしくは撤退することで、会社全体の赤字を改善できます。
事業を縮小することで、従業員の解雇や望まない配置転換が必要になる場合もあるため、再就職先の斡旋など真摯な対応を行いましょう。
節税のための赤字よりも黒字化を目指そう
この記事では、赤字による問題点や赤字を改善する方法などについて説明しました。
節税のために赤字決算を狙う企業もありますが、社会的信用を失い必要なときに融資を受けられなくなってしまいます。
短期的な利益よりも長期的にビジネスを成長させ利益を増やすことの方が、会社の発展には重要です。
健全に経営を行い、黒字化を目指しましょう。
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