集客を増やすためには、闇雲に広告を出したりクーポンを配布したりしても効果がありません。
潜在顧客・顕在顧客・既存顧客のそれぞれに合わせた施策を打つことで、自社商品・サービスの売上を伸ばすことができます。
この記事では顧客層に合わせた集客施策の紹介と、新規顧客・リピーターそれぞれの集客のコツについて説明します。
今まで集客に取り組んできたが思ったような効果が表れていないとお悩みの経営者の方はぜひ参考にしてください。
集客を増やすためには顧客層の理解が必要
集客には以下の方程式があります。
集客=新規顧客+(既存顧客ー離反顧客)×リピート率
新規顧客を集めるだけでなく、既存顧客を離反させずにリピーターになってもらうことで集客が増えます。
新規顧客には潜在顧客と顕在顧客がいます。
集客を増やすためには、潜在顧客・顕在顧客・既存顧客ごとのアプローチが必要です。
1. 潜在顧客
潜在顧客とはまだ自社の商品・サービスを知らない、もしくは自分に必要なものがわかっていない見込み顧客のことです。
悩みが明確になっておらず自社商品と結びついていないため、ニーズに気づかせ自社商品に興味関心を持ってもらう必要があります。
潜在顧客を掘り起こすにはSTP分析を実施します。
Segmentation(セグメンテーション) | 市場を細分化する |
Targeting(ターゲティング) | ターゲットを選択する |
Positioning(ポジショニング) | 自社の立ち位置を決定する |
STP分析によって潜在顧客の興味関心を深掘りし、適切なアプローチができます。
2. 顕在顧客
顕在顧客とは、自分の悩みが明確で自社商品・サービスも認識している見込み顧客のことです。
自社商品に対して興味関心を持っており他社商品との比較検討をしている段階のため、購入するメリットを伝えて購入の後押しをする必要があります。
自社商品・サービスを思い出してもらうための継続的なコミュニケーションや、競合商品との差別化などが効果的なアプローチ方法です。
3. 既存顧客
既存顧客は自社商品・サービスを購入したことがある顧客のことです。
売上を増やすには新規顧客を増やすとともに、既存顧客をリピーターにする必要があります。
マーケティングには「1:5の法則」があります。
1:5の法則とは、既存顧客を維持するのは新規顧客を獲得する5分の1のコストでできるという法則です。
コストがかかればかかるほど売上は減っていくので、既存顧客との良好な関係を維持することで低コストで売上を増やせます。
また、既存顧客は口コミを書いてくれる存在です。
既存顧客がSNSなどで自社商品・サービスの体験をシェアすることで新規顧客の獲得に繋がります。
リピーターを獲得するには?具体的な施策と成功事例を紹介顧客層に合わせた集客の増やし方
集客はオフラインとオンラインの特徴を理解して組み合わせることが大切です。
ここでは顧客層に合わせた集客方法について説明します。
顧客層とオンライン/オフライン | 集客方法 |
---|---|
潜在顧客×オンライン | ・Web広告 ・オウンドメディア ・MEO対策 ・インフルエンサーマーケティング ・SNS運用 |
潜在顧客×オフライン | ・ちらし ・ポスティング ・のぼり ・看板 |
顕在顧客×オンライン | ・オウンドメディア ・SNS |
顕在顧客×オフライン | ・DM ・イベント ・セミナー ・サンプル配布 ・口コミ ・紹介制度 |
既存顧客×オンライン | ・メールマガジン ・LINE公式アカウント |
既存顧客×オフライン | ・DM ・クーポン配布 |
1. 潜在顧客に効果のある集客方法
まだ自社商品・サービスを知らない潜在顧客を集客する場合は、認知から始めます。
自社を知ってもらわない限り、興味関心を持ってもらえず購入もされません。
認知拡大のための施策は、主に7種類あります。
集客方法 | 特徴 |
---|---|
オウンドメディア | ・記事を投稿し検索エンジンの上位表示を狙う ・SEO対策やUX改善が必要 ・成果が出るまで時間と記事作成の手間がかかる |
Web広告 | ・Google等の検索結果の上部もしくは下部に表示されるリスティング広告(キーワードを検索した見込み顧客にアプローチ) ・サイトの広告枠に表示されるディスプレイ広告(ユーザーや商品カテゴリーのターゲティングが可能) |
MEO対策 | ・Googleマップで自社情報を検索上位に表示させる ・Googleマップは検索結果よりも上位に表示されるためクリックされやすい ・実店舗向け |
SNS運用 | ・アカウントが無料で作成できる ・拡散力が高い ・継続的に投稿し続ける必要がある ・SNSによってユーザー層が異なる 【代表的なSNS】 Facebook/Instagram/X(Twitter)/YouTube/TikTok |
インフルエンサーマーケティング | ・SNSでインフルエンサーに自社商品 ・サービスを紹介してもらう ・第三者の意見として受け入れてもらいやすい |
ちらし・ポスティング | ・配布地域を絞れる ・印刷コストなどの費用がかかる ・高齢者やファミリー層向け |
のぼり・看板 | ・瞬発的な訴求効果がある ・長期間の出稿で刷り込み効果が期待できる ・設置場所や大きさなどで費用が異なる |
認知にはターゲティングが重要で、Web広告は詳細なターゲット設定で狙ったユーザーに届けられます。
オフラインで認知を得る場合も、住んでいる地域や年齢などの属性で認知のための施策を選ぶことが必要です。
2. 顕在顧客に効果のある集客方法
自社商品・サービスを知っている顕在顧客を集客する場合は、興味関心を持ってもらい購入につなげる施策を取る必要があります。
ここでは5種類の集客方法を紹介します。
集客方法 | 特徴 |
---|---|
DM | ・視覚的に強く訴えられる ・クーポンをつけて開封率を上げる ・相手が望んでいる内容でなければ捨てられることもある |
イベント・セミナー | ・参加者に大きな価値提供ができる ・ブランディングを強化できる ・一度に多くの顕在顧客と接触できる |
サンプル配布 | ・お試しで使い心地を体験してもらい、購入の後押しができる ・SNSやホームページから応募してもらうとリストが増える ・DMでサンプルを配布することも可能 |
口コミ | ・消費者に信用されやすい ・集客コストが必要ない ・良い口コミをした顧客はリピーターになりやすい |
紹介制度 | ・身近な人の紹介は安心できる ・集客コストを抑えられる ・広告が届きにくい見込み顧客にもアプローチできる |
顕在顧客の集客では、教育して購入の後押しをする必要があります。
購入を妨げている障壁を取り除き、適切に訴求することが大事です。
3. 既存顧客に効果のある集客方法
既に自社商品・サービスを購入したことがある既存顧客を離反させず、リピーターとなってもらう施策は主に3種類あります。
集客方法 | 特徴 |
---|---|
メールマガジン | ・定期的にメールで情報発信 ・メールアドレスがあれば配信可能 ・ユーザーのニーズに合わせた発信が可能 ・スパムメールの判定がされやすい |
LINE公式アカウント | ・どの年齢層も使用している ・プッシュ通知があり、既読率が高い ・顧客に直接アプローチができる ・アカウント作成が無料、従量課金制 |
クーポン配布 | ・再度購入のきっかけを作る ・購入単価の向上が見込める |
既存顧客が再度購入しない理由として、自社商品・サービスの存在を忘れている可能性があります。
顧客に忘れさせないように定期的に接点を持つことが重要です。
新規顧客を増やす5つのコツ
新規顧客を増やすには以下の5点を実践しましょう。
- 既存顧客を分析する
- ターゲットを明確にする
- 競合調査を行う
- 予算を決める
- 競合と差別化する
集客方法には様々な方法がありますが、どれを選ぶかを考える際には調査や分析を行います。
市場や競合他社について知り、適切な集客を実施することが大切です。
1. 既存顧客を分析する
既存顧客を分析すると、ターゲット像を明確にしたり戦略を立てたりすることが可能です。
顧客分析には以下のような分析項目があります。
- 顧客の属性
- 過去の取引履歴・購買履歴
- 顧客とのメッセージ送受信履歴
- 顧客満足度
- 顧客の悩み・ニーズ
- 顧客のカスタマージャーニー
顧客分析では数値で示せる定量データと、顧客が購入した理由などの定性データがあります。
両方を組み合わせて分析することで、より既存顧客像が鮮明になります。
2. ターゲットを明確にする
効果的に集客するには既存顧客の分析結果を元にターゲットを明確にして、ペルソナを設定する必要があります。
ターゲットが漠然としたままでは浅く広く施策を打つことになり、見込み顧客に刺さりません。
理想の購入者であるペルソナを設定することで、悩みやニーズを具体的に表せ、自社との接点やタイミングなどもイメージしやすくなります。
つまり、どのような集客チャネルを使うべきかなどの戦略を決めやすくなるのです。
3. 競合調査を行う
調査を行う競合他社は、現在の競合企業だけでなく今後ライバルになる可能性のある企業も対象です。
競合のホームページを調べたり、競合の商品やサービスの購入・知り合いの社員がいればヒアリングをしたりして情報を収集します。
競合調査に役立つ代表的なフレームワークは以下の5つです。
フレームワーク | 分析項目 |
---|---|
3C分析 | ・Company(自社) ・Customer(市場・顧客) ・Competitor(競合) |
4C分析 | ・Customer Value(顧客価値) ・Cost(顧客コスト) ・Convenience(便利さ) ・Communication(コミュニケーション) |
4P分析 | ・Product(製品) ・Price(価格) ・Place(流通) ・Promotion(販売促進) |
ファイブフォース分析 | ・新規参入の脅威 ・競合他社との敵対 ・代替品の脅威 ・買い手の交渉力 ・売り手の交渉力 |
バリューチェーン分析 | 調達からアフターサービスまでの活動に直接/間接的に関わる活動(主活動/支援活動) |
フレームワークを使うと、調査に抜け漏れがなくなります。
自社分析にも使えるフレームワークのため、自社の強み・弱みなども洗い出しておきましょう。
4. 予算を決める
集客施策の予算を決め、その範囲内で実施します。
予算は主に3種類の基準から計算します。
- 売上目標金額
- 損益分岐点
- LTV(顧客一人当たりの生涯単価)
どの基準から計算しても赤字にならないように費用対効果を考えることが重要です。
GoogleやSNSに広告を出稿すると、インプレッション数やクリック数などのデータが取れます。
日々の数値を分析することで、効果のない集客方法を止めて広告費用を適正に保つことができます。
5. 競合と差別化する
競合他社と差別化する際には、調査の結果を参考に競合の強みとずらしてポジショニングすることが大切です。
ポジショニングマップを作成し自社と競合他社のポジションを可視化すると、差別化するポイントがわかります。
差別化をすることで自社に強力なブランディングができるため、潜在顧客にアプローチしやすくなります。
他社にはない独自の強みは自社商品・サービスの価値を高め、安易な価格競争に陥りません。
ブランディングにより「○○と言えば自社」と消費者に認知されれば、広告費用をかけずに集客ができるようになります。
ブランディングで差別化を図るには?戦略の立て方・考え方のポイントを解説リピーターを増やす3つのコツ
リピーターを増やすコツを以下の3点で説明します。
- 定期的にDMなどを送る
- 自社のファンになってもらう
- リピーターを優遇する
効果的に集客を増やすには、既存顧客のリピート率を上げ離反顧客を減らすことが大切です。
そのためには既存顧客と関係を構築し、接点を増やす必要があります。
自社商品・サービスを一度販売しても顧客を放置してしまえば休眠顧客となり、再度関係を構築するのに労力がかかります。
継続して自社商品を購入してもらえるよう、コミュニケーションチャネルを適切に活用しましょう。
1. 定期的にDMなどを送る
既存顧客にリピーターになってもらうためには、定期的に接点を作ることが大切です。
接点作りには、以下の方法が有効です。
- DM
- メールマガジン
- LINE公式アカウント
適切なタイミングでDMやメッセージを届けられれば、顧客は自社商品を思い出してくれる可能性が高くなります。
必要としていないときに送ると既存顧客の心が離れてしまうリスクがあるため、顧客のニーズを理解したうえで実施することが望ましいです。
メールマガジンやLINE公式アカウントを使った配信は、お役立ち情報や自社の裏側ストーリーなども送信しやすいため、宣伝感が薄まり顧客に受け取るメリットを感じさせられます。
2. 自社のファンになってもらう
既存顧客をファン化することで、リピーターが増えるだけでなく良い口コミを広めてもらえるメリットがあります。
顧客一人一人のニーズを把握し、それぞれに合わせたアプローチを行うと、顧客は自分のための商品・サービスだと感じ満足度が向上します。
顧客の共感を生むこともファン化には重要です。
新商品開発のストーリーや自社の思い、SDGsへの取り組みなどの企業のメッセージなどに共感することで、顧客はその企業を支えたいと感じ、他社よりも選ばれる企業となります。
3. リピーターを優遇する
既存顧客を優遇することにより既存顧客は新規顧客よりもお得感を得られ、リピーターになる大きな理由となります。
- ポイントカード
- 会員限定の先行割引
- 既存顧客のみのイベント開催
航空会社やホテルの上級会員特典や、ECサイトのバーゲン先行スタートなどはリピーター優遇が顕著に出ている例です。
アミューズメントパークの新アトラクションで行われるプレオープンイベントは、チケット購入などを条件にして応募できるようになっているものもあります。
顧客になることで抽選の権利を得られ、当選すれば一般客よりも早くアトラクションを体験できる優遇を受けられます。
集客を増やすには顧客層に合わせた施策が必要
この記事では、潜在顧客・顕在顧客・既存顧客に適した集客方法や、新規顧客・リピーターの集客のコツなどを説明しました。
顧客層と集客方法が間違っていると、集客効果が薄まります。
費用対効果を上げるためにも、集客をする顧客層を明確にして施策を練ることが大切です。
日々の分析結果から効果的な集客を実施しましょう。
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