ニーズとは問題解決や目標達成のための欲求のことです。
企業は顧客ニーズを正しく把握することで、的確な商品開発や提案が可能となり、売上増加や競争優位性の確立、顧客満足度の向上につなげられます。
この記事では、ニーズや似た言葉の意味、ビジネスに重要な理由や把握する方法について説明します。
効率的なマーケティングを実施したいと考えている方はぜひ参考にしてください。
顧客の真のニーズを理解すれば、ビジネスの成長につながります。
ニーズとは?簡単に定義
ニーズとは、人間や組織が持つ欲求や要求のことです。
マーケティングでは消費者が思う必要性のことを指します。
顧客のニーズに応える商品・サービスを提供することや、潜在的なニーズを発見し顕在化させることが重要です。
ニーズと比較されやすいウォンツ・シーズ・デマンド・インサイトとの違いを説明します。
1. ウォンツ
ウォンツとは、ニーズを満たすための具体的な欲求や手段のことです。
ニーズが基本的な要求や必要性を表すのに対し、ウォンツは実現するための具体的な方法や商品・サービスへの欲求を表現します。
ウォンツは以下の3つに分類されます。
基本ウォンツ | ニーズを満たすための基本的な欲求 |
条件ウォンツ | 基本ウォンツに具体的な条件を付けた欲求 |
期待ウォンツ | 選んだ手段に対して当然満たされていると期待する欲求 |
「床を掃除したい」というニーズに対する「掃除機を買いたい」という欲求が基本ウォンツです。
「吸引力の高い掃除機を買いたい」という掃除機に付随する欲求が条件ウォンツであり、掃除機購入時の「故障していない」「すぐに使用できる」という欲求が期待ウォンツです。
2. シーズ
シーズとは、企業が持つ技術力やノウハウ、アイデアのことを指します。
日本語で「種」を意味する英語の「seeds」に由来しており、新しい商品・サービスを生み出す基盤となるものです。
シーズ志向は生産者視点の考え方ですが、ニーズ志向は消費者の欲求を満たすために商品を提供します。
3. デマンド
デマンドとは、消費者の具体的な要求を指す概念です。
ニーズは抽象的で基本的な欲求であるのに対し、デマンドは具体的で「○○社の××がほしい」というように特定の対象に向けられた欲求です。
デマンドは実際の購買行動につながるため、市場動向に直接影響を与えます。
マーケティング活動ではニーズを理解し、デマンドを自社製品へと変えることが重要です。
4. インサイト
インサイトとは、消費者の深層心理や行動の根本的な理由を理解するための洞察や気づきのことです。
ニーズが表面的で基本的な欲求や必要性であるのに対し、インサイトは消費者自身も気づいていない無意識の心理や動機で「なぜ?」という行動の理由や本音を表します。
インサイトを理解することで、企業は消費者のニーズを深く理解し効果的なマーケティング戦略を立てられます。
カテゴリーごとのニーズ11種類
ニーズにはさまざまな分類方法があります。
ここではカテゴリーに分けて11種類のニーズについて説明します。
1. 顧客ニーズ
顧客ニーズとは、顧客が商品・サービスに対して持つ要求や期待のことです。
顧客自身が明確に認識していない場合もあり、発見と理解がビジネスの成功に不可欠です。
顧客ニーズは時代や環境の変化とともに変化するため、常に顧客の声に耳を傾け、市場調査やデータ分析を通じてニーズの変化を捉える必要があります。
2. 基本的な分類:潜在ニーズ・顕在ニーズ
潜在ニーズと顕在ニーズは、顧客が自分の欲求を認識しているかで分類しています。
潜在ニーズ | 顧客自身も気づいていない本質的な欲求 |
顕在ニーズ | 顧客が自覚している明確な欲求顧客自身が問題や解決策を認識して行動を起こしやすい |
マーケティングにおいては、顕在ニーズに応えるだけでなく潜在ニーズを掘り起こすことで顧客満足度が向上し、競合他社との差別化を図りやすくなります。
3. 欲求レベルによる分類:基本的ニーズ・副次的ニーズ
基本的ニーズと副次的ニーズは欲求のレベルによって分類されています。
基本的ニーズ | 人間が生活を送る上で最低限必要とされる欲求 |
副次的ニーズ | 基本的ニーズが満たされた後に生じる高度な欲求 |
食器洗剤の基本的ニーズが「食器をきれいに洗いたい」ことだとすると「殺菌効果がほしい」「水切りをよくしたい」といった欲求が副次的ニーズとなります。
4. 性質による分類:機能的ニーズ・情緒的ニーズ・社会的ニーズ
機能的ニーズ・情緒的ニーズ・社会的ニーズは欲求の性質によって分類されています。
機能的ニーズ | ・商品、サービスの実用的な側面に関する欲求 ・基本的な性能や機能に直接関わるニーズ |
情緒的ニーズ | ・商品、サービスの使用によって得られる満足や体験に関する欲求 ・顧客の感情や心理的側面に訴えかけるニーズ |
社会的ニーズ | ・商品、サービスの使用を通じて得られる社会的な評価や認識に関する欲求 ・顧客の社会的アイデンティティや価値観に関わるニーズ |
スマートフォンを例に挙げると、長時間バッテリーや高性能カメラが機能的ニーズであり、使用時の心地良さやデザインの美しさが情緒的ニーズ、所持することでのステータス向上が社会的ニーズです。
5. 梅沢伸嘉の分類:Beニーズ・Doニーズ・Haveニーズ
Beニーズ・Doニーズ・Haveニーズは消費者ニーズの階層構造を表す概念で、梅沢伸嘉氏が分類しました。
Beニーズ | ・人生ニーズ ・人生や生き方に関する抽象的な願望 |
Doニーズ | ・生活ニーズ ・Beニーズを満たすための具体的な行動欲求 |
Haveニーズ | ・所有ニーズ ・Doニーズを実現するための具体的な商品、サービスへの欲求 |
Beニーズが「健康でいたい」であればDoニーズは「運動したい」、Haveニーズは「ジムに通いたい」のように目的と手段の関係性があります。
ニーズがビジネスにおいて重要な5つの理由
ニーズ把握がビジネスで重要な理由を5種類紹介します。
顧客視点を最優先に企業活動を行い、長期的な顧客関係の構築やブランドロイヤリティの向上を目指します。
1. 売上アップが見込める
ニーズを理解することで、顧客の本質的な欲求に応える商品・サービスの提供が可能です。
顧客が真に求めているものを提供できれば、自然と需要が高まり、売上増加につながります。
ニーズにもとづいた訴求ポイントを強調することで、購買意欲を高められます。

2. 競争優位性を確立できる
潜在ニーズを満たす新しい市場を創出すれば、競合のいないブルーオーシャンを開拓し、市場でリーダーシップをとれる可能性があります。
ニーズの変化を素早く察知し対応することで市場に柔軟に適応できるため、長期的に競争優位性を維持できます。
3. 顧客満足度を向上できる
潜在ニーズを把握することで顧客の期待を上回る商品・サービスを提供できるため、高い満足度につながります。
ニーズにもとづいたカスタマイズや個別対応が可能になり、顧客ロイヤリティの向上につながるでしょう。
顧客満足度を向上させることで競合他社への流出を防げます。
4. 新規事業へのヒントが得られる
潜在ニーズを発見することで、既存の市場では満たされていない新たな需要を見出し、未開拓の市場を創出できる可能性があります。
たとえばユニ・チャーム株式会社のペット用の消臭グッズは「快適にペットと暮らしたい」というニーズをつかみました。
ユニ・チャームの強みである紙おむつの消臭技術を活かした新しい商品提供です。
5. 市場の変化に適応しやすくなる
ニーズ把握のため顧客の声に常に耳を傾けることで、新たなトレンドや要求の兆しを素早く捉えることが可能です。
ニーズの変化を追っていけば将来的な市場動向を予測し、先手を打った事業展開が可能になるため、競合他社に先駆けて成長が見込まれる市場に早期参入できます。
たとえばカーシェアリングは、車を所有するよりほかのことにお金を使いたいニーズの変化によって成長しました。
ニーズを把握する手法4選
ここでは、ニーズを把握する手法を紹介します。
客観的なデータにもとづいたニーズ把握により、精度の高い経営判断が可能です。
マーケティング戦略の最適化も可能なため、経営資源を効率的に活用できます。
1. インタビュー調査
インタビュー調査は、定性的なデータを収集できる手法です。
主にデプスインタビューとグループインタビューの2種類があります。
デプスインタビュー | 1対1で行い、対象者の深層心理を探る |
グループインタビュー | 4〜8名程度で実施し、多様な意見を引き出す |
デプスインタビューは情報収集に時間がかかりますが、他者を気にせず話してもらえます。
グループインタビューは複数名で会話してもらいやすい内容を設定して情報を収集します。
実施の際には対象者と信頼関係を築き、言葉だけでなく非言語コミュニケーションにも注目しましょう。
2. アンケート調査
アンケート調査では、定量的なデータを収集できます。
オンライン調査 | ・低コストで大量のデータを収集できる ・いたずら回答に注意する |
郵送調査 | ・商品を自宅で試してから回答してもらえる ・回答の収集に時間がかかる |
電話調査 | ・消費者の生の声を収集できる ・回答せずに電話を切られてしまう可能性がある |
対面調査 | ・回答が信頼できる ・回答の収集に人的コストがかかる |
調査票の設計では誘導的な質問を避けて、専門用語は使わないことが重要です。
回答者の負担を考慮し、適切な設問数と回答形式を選択することが重要です。
3. ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングとはソーシャルメディア上のユーザーの声を収集する手法です。
リアルタイムにバイアスのかかっていない消費者の生の声を収集できます。
自社に直接関係のない情報も含め広範囲にデータを収集できるため、潜在ニーズの把握にも役立ちます。
4. 行動観察
行動観察は消費者の行動を直接観察し、背景にある心理を理解するための調査手法です。
アンケートやインタビューでは捉えきれない潜在的なニーズや課題を発見するのに有効です。
自然観察 | 自然な環境で参加者の行動を観察 |
構造化観察 | 定められた基準にもとづいて特定の行動を体系的に観察 |
参加観察 | 観察対象の環境に入り込んで観察 |
行動観察では、観察者の存在が参加者に影響を与える可能性があります。
対象者の環境に観察者を入れない場合は観察が限定的になるリスクを考慮しましょう。

ニーズを把握してマーケティング戦略に活用しよう
顧客の真のニーズを理解することで、的確な商品・サービスの開発や販促活動が可能になります。
ニーズをもとに、商品設計・価格設定・流通チャネル選択・プロモーション戦略といったマーケティングミックスを最適化できます。
顧客セグメンテーションやターゲティングの精度を高め、効果的なマーケティング活動を展開できるでしょう。

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