売上低迷を脱却するには?売上減少の原因を分析して適切な施策をとるのが大事

売上低迷を脱却するには?売上減少の原因を分析して適切な施策をとるのが大事

売上が低迷していると、単純に値下げをして集客を増やさなければと考えてしまうかもしれませんが、売上が低迷したときの対策には注意が必要です。

売上低迷の原因を分析し、最適な施策を導き出さなくてはなりません。

売上が低下する原因には内部要因と外部要因があり、当てはまる原因に合わせて対処していく必要があります。

この記事では売上が低迷している状態を脱却したい経営者の方のために現状分析ツールとしてフレームワークの紹介と対策方法について説明します。

自社に起因する売上低迷の6ポイント

売上低迷の原因が自社にある場合、以下の6ポイントを確認しましょう。

  1. 新規顧客の減少
  2. リピート率の減少
  3. 客単価の低下
  4. 商品・サービスのクオリティ低下
  5. 従業員のモチベーションの低下
  6. 現状の停滞

売上低迷は突然起こるのではなく、じわじわと右肩下がりに低下していき、低いまま維持されます。

売上が下がっているとわかったら、すぐに対策を講じることが重要です。

1. 新規顧客の減少

新規顧客が減少すると、リピーターを増やすことができません。

新規顧客が獲得できない原因は、潜在顧客への認知や顕在顧客へのアプローチが足りないと考えられます。

既存顧客を分析し共通点を見つけることで、見込み顧客へのアプローチ方法がわかります。

2. リピート率の減少

1人の顧客が何度も購入することで継続的に売上が上がります。

既存顧客のリピート率を上げるには、DMの送付やメールマガジン、LINE公式アカウントの活用などの方法が有効です。

顧客のニーズに合わせてタイミング良く接点を持つことで購入を促せます。

3. 客単価の低下

1人の顧客が1回で購入する金額が下がると、売上も下がります。

より安価な商品が選ばれていたり、一度に購入する量が減っていたりする場合、その原因を突き止めて対策をとる必要があります。

客単価を上げるには、顧客がほしくなる商品の配置やセット販売などが効果的です。

4. 商品・サービスのクオリティ低下

商品やサービスのクオリティが低いと、顧客は満足せず競合商品やサービスへと移ります。

SNSが普及した現代は低評価の口コミを簡単に投稿できるため、一気に拡散されると想像以上の顧客が離れていく可能性があります。

定期的に顧客アンケートを実施し顧客の意見を確認することが大事です。

5. 従業員のモチベーションの低下

従業員のモチベーションが下がると、接客態度や営業結果などに影響があらわれ顧客が離れる原因になります。

労働条件や評価制度を見直したり、成功体験が積める教育方法を取り入れたりすると、モチベーションアップにつながります。

健全な職場環境をつくり、従業員が主体的に働けるようにすることが重要です。

6. 現状の停滞

現状のまま停滞することは、売上低迷を招きます。

現状の分析をせず、同じことを繰り返していても成長は望めません。

今は売上が低下していなくても市場の変化についていけなければ、いずれ売上は下がってしまうでしょう。

好調なときほど現状分析を実施し、改善を繰り返すことが重要です。

売上低迷の元になる5つの外的要因

売上低迷の外的要因は以下の5点です。

  1. 流行やトレンドの終焉
  2. 競合他社の出現や業績向上
  3. 法律の改正や景気停滞などの環境の変化
  4. 自社商品・サービスのイメージ悪化
  5. ホームページやSNSのアクセス減少

外的要因から売上低迷を避けるには、常に環境の変化に注目し、リスクヘッジをしておくことが重要です。

1. 流行やトレンドの終焉

流行やトレンドは目まぐるしく移り変わります。

トレンドに乗って売上を維持していても、消費者が次のトレンドに目を向ければ売上が低下してしまう可能性があります。

芸能人が偶然自社商品をSNSにアップして注目を集めても、いずれ忘れられてしまうでしょう。

流行に乗ることも売上アップには重要ですが、長期的には流行やトレンドに流されない商品・サービスを作る必要があります。

2. 競合他社の出現や業績向上

競合他社が増えたり他社の業績が向上したりすれば、その分自社のシェアが奪われたことになり、売上が低下します。

例えば、本屋であれば近隣店舗だけでなく、AmazonなどのオンラインECサイトや電子書籍、古本屋、メルカリなどの個人販売サイトがすべて競合となります。

一見競合ではないと思われる企業でも、顧客ニーズで紐解けば競合になりえる場合もあるので、広い視野で市場を観察することが必要です。

ミスタードーナツの競合は、その他のドーナツ店だけが競合なのではありません。

コーヒーが飲める店と考えればスターバックスなどのカフェが競合となり、持ち帰りのドーナツが買える店と考えれば、パン屋も競合となり得ます。

以前は片手にドーナツ、もう片手にコーヒーを持つ休憩スタイルもよく見られましたが、片手がスマホで塞がっていることが増えた現在では、ドーナツとスマホは競合していると考えることもできてしまいます。

「自社商品が使われるシーンが奪われる」という視点で広く捉えることが重要です。

3. 法律の改正や景気停滞などの環境の変化

法律の改正や景気などの社会情勢の変化がマイナスに働き、売上が低迷することがあります。

例えば、ウクライナとロシアの戦争や円安により小麦の値段が上がり、様々な食品の値上げの一因となっています。

パンデミックによる外出自粛で飲食店や観光業の売上が低下したことも問題となりました。

突然環境が変化しても対応できるように、備えておくことが重要です。

4. 自社商品・サービスのイメージ悪化

SNSのネガティブな口コミや従業員の不適切な投稿などにより、自社商品・サービスのイメージが悪化することがあります。

客観的な低評価は改善のきっかけとなり誠意を持った対応ができますが、悪質な投稿が拡散されて対応を誤ると炎上のリスクが高まります。

投稿の原因を見極めて適切に対応することが必要です。

5. ホームページやSNSのアクセス減少

ホームページやSNSのアクセスが減少すると、ユーザーの目に留まりづらくなり売上低下の原因となります。

ホームページがGoogleの検索結果で上位表示されれば、ユーザーの訪問率が向上します。

SEO対策やSNSからの遷移、MEO対策などを適切に行うことが重要です。

SNSは投稿しなくなると、ユーザーが離れてしまう傾向があります。

毎日投稿し活発にユーザーとやり取りすることで、自社アカウントが多くのユーザーに認知されます。

売上低迷の原因分析に役立つフレームワーク5種類

ここでは、売上低迷の原因を分析するのによく使われているフレームワークを5種類紹介します。

  1. PEST分析
  2. ロジックツリー
  3. 3C分析
  4. SWOT分析
  5. ファイブフォース分析

PEST分析とロジックツリー、3C分析とSWOT分析のように、複数のフレームワークを組み合わせて使うことも可能です。

1. PEST分析

PEST分析は外部環境を分析するフレームワークです。

外部環境の中でも自社の力ではコントロールできないマクロ環境を分析するのに適しています。マクロ環境とは以下の4種類です。

政治(Politics)・法改正
・増税
・減税
・補助金交付
・規制緩和
・政権交代
・政策転換など
経済(Economy)・景気
・為替相場
・株価
・金利
・賃金
・原油価格
・消費者物価指数など
社会(Society)・流行
・トレンド
・ライフスタイルの変化
・宗教
・文化
・人口
・少子高齢化など
技術(Technology)・AI
・機械学習
・IoT
・ビッグデータ
・メタバース
・MR
・VR
・特許など

PEST分析では、環境要因を設定して情報収集し、4つのマクロ環境に分類します。

集めた情報は、データや状況などから明確にわかる事実なのか、それとも状況から判断した個人の解釈なのかを明確に分けるのがポイントです。

外部環境の情報を収集し整理することで、売上低迷の原因となる脅威や挽回のチャンスを浮き彫りにできます。

2. ロジックツリー

ロジックツリーは論理的に問題解決方法を見つけるためのフレームワークです。

ロジックツリーには、以下の4種類があります。

  • Whyツリー(原因研究)
  • Howツリー(問題解決)
  • Whatツリー(要素分解)
  • KPIツリー

Whatツリーは顧客像の具体化や市場分析に役立ちます。

売上低迷を改善する場合は、Whyツリーで根本的な原因を明らかにした後、Howツリーでその原因を解決する方法を具体的に考えるという手順でロジックツリーを使います。

KPIツリーはKGI(経営目標達成指標)を達成するための中間目標を設定するためのものです。

Howツリーで導き出したアクションにKPIを紐づけると、売上低迷を改善するアクションプランが完成します。

3. 3C分析

3C分析は市場環境を分析するフレームワークです。

内部環境である「自社」と外部環境の「市場・顧客」「競合」を分析して、自社の成功要因を見つけます。

自社(Company)・自社の経営資源
・市場シェア
・技術力
・組織力
・商品
・サービスの強みと弱みなど
市場・顧客(Customer)・市場規模
・市場の成長性
・状況の変化
・顧客ニーズ
・顧客の購買意欲など
競合(Competitor)・競合の利益率
・競合の社員数
・市場シェア
・競合商品
・サービスの強みと弱み
・販売ルートなど

3C分析によって市場・顧客や競合と自社との関係性が明確になります。

売上低迷が続いているなら、顧客ニーズのないものを販売していたり、競合が強い市場で戦っていたりしている可能性があります。

売上改善のためには、競合が弱く顧客ニーズがある市場で自社の強みを活かせるポジションをとることが重要です。

4. SWOT分析

SWOT分析は自社の内部環境と外部環境を以下の4つの視点で分析し、自社の現状を把握するフレームワークです。

強み(Strength)
弱み(Weakness)
自社にプラス / マイナスの影響を与える内部環境・商品の品質
・商品の価格
・技術力
・ブランド力
・組織力など
機会(Opportunity)
脅威(Threat)
自社にプラス / マイナスの影響を与える外部環境・市場規模
・顧客の購買意欲
・経済の成長性
・話題性
・トレンド
・競合企業の有無など

SWOT分析によって売上を改善するためのポイントや、将来的なリスクを把握することが可能です。戦略を立てる際にはクロスSWOT分析をします。

「強み×機会」「強み×脅威」「弱み×機会」「弱み×脅威」で組み合わせると、機会の活用や脅威の回避に繋げます。

5. ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は、自社がさらされている脅威を以下の5種類に分類するフレームワークです。

  • 既存の競合企業
  • 新規参入者
  • 代替品
  • 買い手の交渉力
  • 売り手の交渉力

参入障壁が低い市場であれば、既存の競合企業に加えて新規参入企業や既存商品の代替品が現れて、シェアを取られてしまう可能性が高いです。

市場に競合他社が多く自社との差別化ができなければ価格競争に陥り、買い手(顧客)の競争力が強まります。

自社が仕入れている原材料が貴重なもので取り扱い企業が少ない場合は、売り手(サプライヤー)の交渉力が強まり利益を上げにくくなります。

ファイブフォース分析で市場に存在する脅威の強さを明らかにすることで、自社の売上低下の原因を知り売上を改善する施策を検討できるでしょう。

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売上低迷を脱却するための7つの対策

自社の売上を改善するための対策を7つ紹介します。

  1. 現状分析をする
  2. 不要な業務や取り組みをやめる
  3. 新規顧客を増やす
  4. リピート率を向上させる
  5. 客単価を上げる
  6. 商品・サービスのクオリティを上げる
  7. 従業員のモチベーションを上げる

売上低迷を脱却するには、原因を明確にするところから始めます。

様々な売上アップの方法がありますが、適切な対策を実施するためにも分析をしっかり行いましょう。

1. 現状分析をする

売上低迷の原因を探るため、丁寧に現状分析を行います。

現状分析には前章で紹介したフレームワークの使用が便利です。

原因がわからないままでは的外れな対策を実施してしまう可能性があります。

成果を出すためにも現状分析による原因の究明が大事です。

2. 不要な業務や取り組みをやめる

売上が低迷しているときには利益を確保するために、不要な業務や取り組みをやめて経費を減らすことを考えましょう。

どの業務や取り組みが不要かを見極めるには、バリューチェーン分析が便利です。

バリューチェーン分析は事業の各工程で、それぞれの活動がどのような価値を生み出し、どんな課題を抱えているのかを把握するフレームワークです。

大きな価値を生み出していない活動や代替できる活動があれば、経営資源の配分を再検討できます。

3. 新規顧客を増やす

新規顧客の獲得を増やすには、潜在顧客への認知拡大と顕在顧客へのアプローチが必要です。

新規顧客の集客には、以下のような方法があります。

潜在顧客への認知拡大・マスメディアへ広告出稿
・看板やのぼりの設置
・ポスティング
・Web広告
・ホームページなど
顕在顧客へのアプローチ・MEO対策
・ダイレクトメール
・メールマガジン
・セミナー
・クーポン配布など

新規顧客の集客では、詳細なターゲット設定と適切な集客施策の選択が大事です。

ターゲット設定が間違っていると、自社からのアプローチが見込み顧客に届かない可能性があるため注意してください。

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4. リピート率を向上させる

以前購入して再度の購入がない顧客や購入頻度の少ない顧客に対して、アプローチをかけることでリピート率の向上を期待できます。

  • ダイレクトメールで無料サンプルやクーポン送付
  • 既存顧客向けのセールなどのイベント開催
  • メールマガジンやLINE公式アカウントで定期的に情報配信

自社から積極的にアプローチをかけることで、顧客に購入のきっかけを与えられます。

顧客に自社の商品・サービスを忘れさせないように、購入後もフォローを行いましょう。

リピーターを増やす方法5ポイント|顧客の購入回数を増やして売上安定を図ろうリピーターを増やす方法5ポイント|顧客の購入回数を増やして売上安定を図ろう

5. 客単価を上げる

客単価を上げると顧客数が同じでも売上が上がります。客単価を上げるには、以下のような方法があります。

  • アップセル・クロスセルを勧める
  • 商品・サービスに付加価値をつけて価格を上げる
  • セット販売する

他にも、商品・サービスの良さを無料もしくは格安で体験してもらうと、高額商品の認知につながります。

6. 商品・サービスのクオリティを上げる

商品・サービスの質が低下していると、顧客満足度が下がり顧客離れを引き起こします。

口コミの低評価が増えるきっかけにもなるため、改善することが必要です。

顧客アンケートやクレームなどの顧客の生の声が、商品・サービスの改善の参考になります。

7. 従業員のモチベーションを上げる

売上改善の対策を立てても、実行する従業員のやる気がなければうまく改善できません。

モチベーションの低い従業員が多い職場では優秀な人材が流出してしまう恐れがあるため、モチベーションアップの施策が必要です。

自社のビジョンや提供価値を共有し経営陣と従業員の認識を合わせることで、全員が同じ方向に進めます。

従業員は自分の仕事にどのような価値があるのかがわかると、主体的に働けるようになります。

売上低迷時には勘に頼らず分析結果から対策を練ろう

この記事では、売上低迷の原因と改善する方法について説明しました。

売上低迷を脱却するには、現状分析が欠かせません。

なんとなくで対策を実施しても期待した成果が得られず、売上低下を加速させてしまう可能性があります。

現状分析にはフレームワークが役立ちます。

今回紹介したフレームワークを活用し、売上低迷の原因を明らかにしてから対策を検討しましょう。

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