ブランディング成功事例を14種類と失敗事例を3種類紹介します。
ブランディングの成功事例を知ることで、中小企業でもブランディングを成功させて売上アップを狙うことができます。
ブランディングを実施する方法をステップ形式にして説明しているので、ブランディングを強化したい経営者の方はぜひ参考にしてください。
ブランディングが成功すれば広告宣伝費や採用費を削減できる効果も期待できるので、積極的に取り組みましょう。
種類別ブランディングの成功事例14選
ブランディングには様々な種類があります。
ここでは、以下の5種類のブランディングについての成功事例を紹介します。
インナーブランディング | エン・ジャパン株式会社 日本航空株式会社 ザ・リッツ・カールトン |
商品ブランディング | 穴なし槽洗濯機(シャープ株式会社) バーミキュラ(愛知ドビー株式会社) ブラックサンダー(有楽製菓) |
サービスブランディング | スターバックス 東京ディズニーリゾート Amazon |
企業ブランディング | NIKE Apple トヨタ自動車 |
採用ブランディング | 日本マクドナルド株式会社 株式会社サイバーエージェント |
1. インナーブランディング
インナーブランディングとは、従業員に自社の企業理念やビジョンなどを浸透させていく取り組みです。
インナーブランディングにより従業員のモチベーションが上がり、自社に対して愛着を持ちます。
エン・ジャパン株式会社
エン・ジャパン株式会社では「en soku!(エンソク)」というオンライン社内報を社外にも公開しています。
エン・ジャパン社内の出来事を社員がコラムにして毎日公開する形で、誰でも閲覧可能です。
社内報は一般的に広報部が社内向けの情報発信やインナーブランディングを目的に作られていますが、興味を持ってもらえずに読まれないことが多いのが課題です。
「en soku!」では社員が楽しく発信しており、コミュニケーションの一端を担っています。
日本航空株式会社
日本航空株式会社は動画コンテンツを利用して、社内の情報共有を行っています。
社内の動画ポータルサイト「JAL ON AIR」には1,600本以上の動画がアップロードされており、経営陣からのメッセージやマニュアルなどを視聴できます。
日本航空には様々な部門があり、部門同士の関係性が希薄という課題がありました。
部門を横断して対談動画を作成したことで、お互いの業務の相互理解が深まりモチベーションアップに繋がっています。
ザ・リッツ・カールトン
リッツ・カールトンでは、ホテルスタッフ全員がクレドカードという行動指針が書かれたカードを携行しています。
クレドカードに書かれているのは「紳士淑女であるお客様をおもてなしする私どももまた紳士淑女です」というモットーや、サービスバリューズなどの行動指針です。
従業員はクレドを腹落ちするまで何度も読み返すことで、主体的に最高級のサービスを提供できるようになります。
従業員の行動がリッツ・カールトンのブランドイメージを作り上げているのです。
2. 商品ブランディング
商品ブランディングは商品独特の価値を確立させて、消費者に浸透させる取り組みのことです。
他社にはない商品の価値を消費者に認知してもらうことで、価格競争をせずとも選ばれ続ける商品になります。
穴なし槽洗濯機(シャープ株式会社)
シャープ株式会社は、独自の技術で穴なし槽洗濯機を開発し販売しています。
穴なし槽洗濯機は洗濯槽に穴を開けないことから、節水や防カビの効果があります。
SDGsにも貢献している家電製品です。
2023年の発売30周年を機に、1992年製の穴なし槽洗濯機を分解して汚れの有無を確認した結果、目立った黒カビが洗濯層の内側には見当たらないことがわかりました。
穴なし槽洗濯機は他の企業に製造技術がなく、シャープの大きな差別化になっています。
バーミキュラ(愛知ドビー株式会社)
バーミキュラは2010年に発売されたホーロー鍋です。
「手料理と、生きよう。」をブランドスローガンに掲げ、素材本来の味を引き出した調理や料理の楽しさを伝えるブランディングが構築されています。
バーミキュラを使ったオリジナルレシピを紹介し、バーミキュラを購入した後の生活の変化に焦点を当てて訴求しているのがバーミキュラの特徴です。
難しい技術面がわからなくてもバーミキュラを使って料理をすれば豊かな暮らしを送れそうだというイメージを顧客に与えています。
ブラックサンダー(有楽製菓)
ブラックサンダーは1994年に発売されたチョコレート菓子です。
バレンタインの企画として「一目で義理とわかるチョコ」という広告を出し、義理チョコマシーンを設置しました。
義理チョコマシーンでは「義理チョコの素」がもらえる仕組みで、行列ができるほどの人気でした。
バレンタインといえば本命チョコを考えがちですが、ブラックサンダーのイメージに合った義理チョコを前面に出したプロモーションが受けています。
中小企業ならではの王道から外れたユニークなブランディングで安定した人気を維持しています。
3. サービスブランディング
サービスブランディングは、目に見えないサービスの強みや提供価値を他社と差別化し、消費者に認知してもらうことです。
自社独自の体験を提供することで、価格競争に巻き込まれないポジションを確立させられます。
スターバックス
スターバックスは店舗体験を重視したブランディングを行っています。
居心地の良い店内とバリスタの高いホスピタリティによって、自宅でも会社でもないサード・プレイスの地位を築きました。
スターバックスではアルバイトに80時間の教育を行いブランドアイデンティティを理解させています。
接客マニュアルが用意されていないため、アルバイトは自分でお客様が喜ぶことが何かを考えて接客します。
良質な店舗体験がブランド価値を高めているのです。
東京ディズニーリゾート
東京ディズニーリゾートの使命は「ゲストにハピネスを提供する」です。
細かな業務マニュアルはなく、キャストは「SCSE(安全・礼儀・ショー・効率)」というルールを守って行動することが求められています。
キャストはもともとディズニーブランドのファンで、ディズニーリゾートがどういう場所かを理解していることが多いです。
そのため、自分がディズニーの舞台に立つ一員としてゲストにハピネスを提供するためにはどうすれば良いかを考えて行動できます。
それを体験したゲストが次世代のキャストを目指し、ブランディングがより強固なものになっていくのです。
Amazon
Amazonは通販サイトとして、ほしいものはすべて見つかるというくらいの品揃えを誇っています。
ユーザーの閲覧・購入履歴から導き出されるニーズに合わせたレコメンド機能があるため、必要な商品を見つけやすく購入までの導線も単純です。
Prime会員であれば、購入後は注文当日に商品が届くシステムも構築されているため、待つストレスも軽減されます。
このようなユーザー体験によりAmazonのブランド価値を強めています。
4. 企業ブランディング
企業ブランディングは、企業独自のイメージや価値を高めて顧客に浸透させる取り組みのことです。
環境問題への取り組みなどの社会的責任を果たすことも、企業自身の価値を高めることに繋がります。
企業ブランディングを構築すると、競合他社との差別化ができて顧客から選ばれる企業になります。
NIKE
NIKEは多様性などの問題提起を行うメッセージ発信を行っています。
2018年には黒人差別に異を唱えて国歌斉唱中に跪いたコリン・キャパニック選手を広告塔に抜擢しました。
NIKEのスローガン「Just Do It」は、最初の一歩を踏み出すのは難しいけれどもそのサポートをするという想いが込められています。
戦略の根底は「Just Do It」が一貫しており、共感した消費者から選ばれる企業となるのです。
Apple
Appleの製品は、デザイン性や操作性に優れています。
パソコンといえば無機質なデザインが一般的だった中、カラフルでスケルトンのデザインのデスクトップパソコンを販売して革新的なイメージを植え付けました。
デザインは直観的な操作性を追及したもので、ユーザーの使いやすさや愛着を重視した結果のブランディングと言えます。
スタイリッシュなデザインとシンプルな操作性からAppleといえばステータスやかっこよさ、おしゃれなどの印象を植え付け、Appleブランドの価値を高めています。
トヨタ自動車
トヨタでは「トヨタ生産方式」と呼ばれる自動車の生産管理システムを確立しています。
「トヨタ生産方式」は異常が発生したら機械がすぐに停止する「自働化」と、各工程に必要な部品を必要なだけ生産する「ジャスト・イン・タイム」という2つの概念で成り立ち、徹底的に無駄を省いた思想です。
トヨタは世界中で自動車づくりの姿勢と実績を評価され、強いブランドイメージを持っています。
5. 採用ブランディング
採用ブランディングは、企業の魅力や価値を伝え求職者に入社したいと思ってもらう施策のことです。
採用ブランディングを高めることで、人が集まる会社となります。
日本マクドナルド株式会社
マクドナルドではいかに安心して応募してもらえるか、働いている姿をイメージしてもらえるかに重点を置き、オウンドメディアを活用しています。
約6割のクルーが学生アルバイトのため、初めてアルバイトをする人でも安心して学べる研修体制や、クルーの働いた感想などをコンテンツとして見ることが可能です。
企業が従業員に提供できる価値を明確にすることで、他社との差別化を図っています。
株式会社サイバーエージェント
サイバーエージェントでは、採用市場全体での位置づけを知るためにリサーチを実施しています。
自社の強みと求職者が思い描くイメージが異なると正しく訴求できません。
しかし、リサーチした結果から採用メッセージを発信をするため、どんな人材がほしいのかを正しく伝えられミスマッチを減らせます。
ブランディングの失敗事例3選
ブランディングの失敗事例を3つ紹介します。
- 日本マクドナルド株式会社
- GAP
- トロピカーナ
顧客が自社のことを本心でどのように思っているのかを知り、それをブランディング構築に生かすことが大事です。詳しく見ていきましょう。
1. 日本マクドナルド株式会社
マクドナルドは2006年にサラダマックという野菜中心のメニューを販売しました。
消費者の健康志向に応えるためでしたが、ヒットせずに失敗してしまいます。
マクドナルドといえば高カロリーなファストフードというイメージを持っている顧客が多く、健康に良いものを求めていたわけではなかったのです。
顧客の本音に気づかずに商品を開発した結果、顧客が本当に求めているものとずれたブランディングとなりました。
2. GAP
GAPは2010年にロゴを変更したことがあります。
顧客から不評を買い、すぐに元のロゴに戻さなければいけなくなりました。
見慣れたロゴの変更にはある程度の批判がつきものですが、ロゴに込められた想いやビジョンなどがなかったため、元に戻さざるをえなかったのです。
今までのブランディングからイメージを変更する場合は、明確な意図をもって行う必要があります。
3. トロピカーナ
トロピカーナは、2009年にパッケージデザインを変更して2か月後に元に戻す失敗をしました。
トロピカーナは100%のオレンジジュースということを示すためにオレンジにストローが刺さったイラストを使っています。
しかし、新しいデザインではグラスに入ったオレンジジュースのイラストに変更され、新鮮さの訴求がなくなりました。
商品の陳列棚でも差別化ができず、トロピカーナのパッケージを簡単に見分けられなくなってしまったのが原因とされています。
成功するブランディングを実施する方法5ステップ
ブランディングを成功させるための方法をステップ形式で説明します。
- ブランディングの目的を明確にする
- 自社の現状を分析する
- ブランドアイデンティティを決める
- ブランドを拡散・浸透させる
- ブランド調査を行い改善する
自社でのブランディング構築の参考にしてください。
1. ブランディングの目的を明確にする
ブランディングを何のために行うのかを明確に決めることが重要です。
目的を明確にすれば、ブランディングに一貫性を持たせられます。
自社のビジョンとブランディングの目的は、同じ方向性を持つ必要があります。
方向性がばらばらでは企業全体として統一したイメージを顧客に持ってもらうことができず、ブランディングが上手く構築できないからです。
2. 自社の現状を分析する
自社の現状はマーケティング分析のフレームワークを活用します。
4P分析 | 企業の視点で考えるマーケティング分析 ・製品(Product) ・価格(Price) ・流通経路(Place) ・販促(Promotion) |
4C分析 | 顧客の視点で考えるマーケティング分析 ・顧客価値(Customer Value) ・コスト(Cost) ・利便性(Convenience) ・コミュニケーション(Communication) |
PEST分析 | 外部環境を分析 ・政治(Politics) ・経済(Economy) ・社会(Society) ・技術(Technology) |
SWOT分析 | 外部環境と内部環境を分析 ・強み(Strength) ・弱み(Weakness) ・機会(Opportunity) ・脅威(Threat) |
STP分析 | 市場の立ち位置を分析 ・セグメンテーション(Segmentation) ・ターゲティング(Targeting) ・ポジショニング(Positioning) |
自社の内部環境だけでなく競合他社との比較や外部環境の分析も行うことが大切です。
3. ブランドアイデンティティを決める
ブランドアイデンティティとは、ブランドを象徴するビジュアルや特徴などから顧客に持ってもらいたいイメージのことです。
ブランドアイデンティティには4つの要素があります。
フィロソフィー | ・ミッション ・価値観 ・ビジョン |
ベネフィット | ・便利さ ・肯定的な感情 ・自己表現 |
属性 | ・客観的 ・定量的な特性 |
パーソナリティ | ・ブランドの人間的な特徴 |
ブランドアイデンティティを設定することで、ロゴやキャラクター設定などの具体的な施策までが一貫したものになります。
4. ブランドを拡散・浸透させる
ブランディングは長期的に浸透していくもののため、短いスパンで変更を繰り返すことができません。
顧客だけでなく従業員や取引先など、すべてのステークホルダーに対して浸透させる必要があります。
一貫したブランドアイデンティティを伝え続けることで、ブランドへの信頼感が高まります。
5. ブランド調査を行い改善する
ブランドが正しく拡散・浸透しているかを調査し、期待した効果が得られなければ施策の改善が必要です。
ブランドの調査には以下のような方法があります。
- SNS
- ネットリサーチ
- 街頭インタビュー
- 訪問・電話・郵送での調査
社会情勢などの外部環境が変化するため、調査を定期的に実施し時代に即したブランディングをする必要があります。
ブランディングが成功したときの3つのメリット
ブランディングが成功すると得られるメリットは主に3点です。
- 広告宣伝費を削減できる
- 企業・商品の信頼性が向上する
- 良い人材を採用できる
ブランドの価値が向上するとコストが下がり売上が安定するため、更にブランド価値を向上させる施策を実施できます。
1. 広告宣伝費を削減できる
ブランディングが成功すると、競合他社との差別化ができて知名度も上がります。
顧客にとってその企業や商品・サービスを選ぶ理由が明確になっているため、大規模な宣伝をしなくても購入してくれます。
ブランディングにより顧客がファン化すれば、長期的に安定して売上を保てるでしょう。
2. 企業・商品の信頼性が向上する
ブランド価値が高いと、顧客からの信頼を得られます。
信頼できる企業・商品はリピート購入されやすく、ブランドに愛着を持ちファンになってくれるでしょう。
顧客から信頼されることで不要な価格競争をせずに済み、値下げによるブランド価値の低下を防げます。
3. 良い人材を採用できる
ブランディングにより企業イメージが向上すると、自社や商品・サービスに関わりたいという人が増えます。
もともと自社のファンだった人を採用できれば、自社に強い思い入れがあり、仕事に対するモチベーションも高いでしょう。
企業の認知度も上がるため、全体的に応募者数も増えるはずです。
ブランディングの成功事例を自社ブランディングの参考にしましょう
この記事では、ブランディングの成功・失敗事例や実施方法などを紹介しました。
ブランディングは一朝一夕には構築できず、長期的に一貫した施策が必要です。
今回紹介した成功事例と失敗事例を参考に、自社のブランディングを確立していきましょう。
「ブランディングと聞くと大企業の話ばかり。
自分の小さな事業ではブランディングはできないのかな…」
「成功している企業と自分の会社、一体どこが違うんだろう?」
そう感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
フリーランスが急増し、競争が激化している近年では
中小企業・個人事業主であっても「繰り返し選んでもらえるブランディング」の重要性が増しています。
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