事業拡大にマーケティングを活用することは、ビジネスの成長を目指す企業にとって不可欠です。
本記事では、事業拡大の方法に考えられるマーケティングの活用の仕方や事業拡大のメリット、事業拡大を成功させるマーケティング戦略を解説します。
また、マーケティングを活用しながら事業拡大を行うステップや企業事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
本記事を最後まで読めば、事業拡大を達成できるマーケティング戦略と、それを実行するために企業で行うべき手順が分かります。
事業拡大にマーケティングを活用する方法
事業拡大を目指す際にマーケティングの活用は不可欠であり、企業が自社で事業を拡大する方法には、「新規事業への進出」と「既存事業の拡大」の2種類があります。
本章では、それぞれの方法を検討する際に、マーケティングの使用が役立つ場面を解説していきます。
事業拡大の方法1:新規事業への進出
新規事業への進出は、既存の事業とは異なる市場や業界に参入し、新たな収益源を確保することです。
この事業拡大方法を取る場合、マーケティングは、以下の場面で役立ちます。
- 新市場の開拓
- パートナーシップの構築
- マーケットニーズの把握
マーケティングが活用できる場面1:新市場の開拓
新規事業への進出には、新たな市場の開拓が必要です。
需要が高く、競合が少ない市場を選び、競争力を持つ商品やサービスを提供しましょう。
マーケティングが活用できる場面2:パートナーシップの構築
新規事業への進出には、パートナーシップの構築も大切です。既存の企業や専門知識を持つ個人と提携し、共同で新たな事業を展開することでリスクを分散させることができます。
マーケティングが活用できる場面3:マーケットニーズの把握
新規事業への進出では、市場のニーズやトレンドを把握することが重要です。顧客の要求に合わせた商品やサービスを提供するために、市場調査や顧客インタビューを行いましょう。
事業拡大の方法2:既存事業の拡大
既存事業の拡大は、既に提供している商品やサービスをさらに拡充し、新たな市場での需要を獲得することを目指します。
この事業拡大方法を取る場合、マーケティングは以下の場面で役立ちます。
- 新製品やサービスの開発
- マーケティング戦略の改善
- 顧客満足度の向上
マーケティングが活用できる場面1:製品の改良や新しい機能の追加
既存事業の拡大においては、新たな製品やサービスの開発が必要です。
市場のニーズや競合他社の動向を考慮しながら、顧客にとって価値のある商品やサービスを提供しましょう。
マーケティングが活用できる場面2:マーケティング戦略の改善
既存事業の拡大には、マーケティング戦略の改善も欠かせません。広告やプロモーションを活用し、ターゲット市場に対して効果的なメッセージを発信しましょう。
マーケティングが活用できる場面3:顧客満足度の向上
既存の顧客との関係を強化し、顧客満足度を向上させることも重要です。
顧客のニーズや要望に応えるために、サービスの品質や提供方法を改善しましょう。
事業拡大にマーケティングを活用するメリット
事業拡大にマーケティングを活用することには、以下のメリットがあります。
- 売上の増加
- 競争力の向上
- ブランドイメージの向上
- 新たなビジネスチャンスの創出
各項目を解説していきます。
売上の増加
事業拡大にマーケティングを活用すれば、売上の増加につながります。
売上の増加にマーケティングが必要な理由は、様々な媒体で戦略的に宣伝活動を行うことで、企業の認知度が上がるからです。
また、市場調査や顧客分析をすることで、より適切なターゲットを選定したり、需要がありそうな新たな層にターゲットを定めたりできます。
選定したターゲットに刺さる内容で宣伝を行うことで、売り上げが増加します。
より適切で広い範囲にターゲットを選定すれば、売上が増加し、企業の成長を促進することが可能です。
売上低迷を脱却するには?売上減少の原因を分析して適切な施策をとるのが大事競争力の向上
事業拡大にマーケティングを活用すれば、顧客のニーズに合った商品やサービスを提供することができ、競争力を高めることができます。
競争力の向上にマーケティングが必要な理由は、業界や競合他社の状況をマーケティング手法を用いて分析できるからです。
競争が激化するビジネス環境で、他社の状況を把握すれば、自社の強みを把握し、競合他社との差別化を図る戦略を考えられます。
競合調査を進める方法は?調査項目やフレームワークも解説ブランドイメージの向上
事業拡大にマーケティングを活用すれば、企業のブランドイメージを向上させることが可能です。
ブランドイメージの向上にマーケティングが必要な理由は、マーケティング活動を通じて企業が提供する価値や品質を伝えることで、顧客の信頼が獲得できるからです。
また、マーケティング活動を通して、顧客とコミュニケーションを取ることで、企業の信頼性を上げ、顧客との長期的な関係を築けます。
ブランドイメージの向上は、顧客のロイヤルティ獲得にもつながります。
ブランディングとは?取り組むメリットや具体的な進め方について解説新たなビジネスチャンスの創出
事業拡大にマーケティングを活用すれば、新たなビジネスチャンスを創出することができます。
新たなビジネスチャンスの創出にマーケティングが必要な理由は、宣伝活動を通して顧客のフィードバックを聞いたり、市場のトレンドを吸収したりすることで、顧客の新たなニーズに気付くきっかけになるからです。
他にも、マーケティングのフレームワークを用いて顧客のニーズを把握できます。
マーケティング活動は、新たな商品や施策を開発する手助けとなり、ビジネスチャンスの創出が可能です。
事業拡大に有効なマーケティング戦略・フレームワーク3選
本章では、事業拡大に有効なマーケティング戦略を5つ紹介します。
- 成長マトリクス
- 5フォース分析
- AARRRモデル
成長マトリクス
成長マトリックスは、イゴール・アンゾフ氏によって提唱された、市場の拡大や新しい製品の開発を通じて事業の拡大を図る際に用いられるフレームワークです。
このフレームワークを上手く活用することで、企業は市場の変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現することができます。
このマトリックスは、事業の成長を「製品」と「市場」の2軸におき、その2軸をさらに市場で「既存」と「新規」に分けて表現します。
- 既存市場×既存製品
- 既存市場×新規製品
- 新規市場×既存製品
- 新規市場×新規製品
このようにして得られた4つの象限から、事業拡大のための戦略を練ることができます。次にそれぞれの象限を紹介しますので、ご覧ください。
市場浸透戦略:既存市場×既存製品
市場浸透は、既存の市場で既存の製品をより多く販売することを目指す戦略です。
企業は、より多くの製品を定期的にクライアントに販売したり、すでに確立された市場内で新たな消費者を引きつけたりすることで、この目標を達成することができます。
新製品開発戦略:既存市場×新規製品
新製品開発戦略は、自社が一定のシェアを持っている市場に新製品を打ち出してシェアを拡大することを目指す戦略です。
この戦略は、市場シェアを維持し、顧客に新製品を提供することで新たな収益源を創出することを目指しています。
新市場開拓戦略:新規市場×既存製品
新市場開拓戦略は、未開拓の市場に既存製品を売ることで、新たな収益源を見出す戦略です。
言い換えれば、企業は自社の製品をターゲットとする新しい市場セグメントを見つけることに焦点を当てています。
多角化戦略:新規市場×新規製品
多角化戦略は、未開拓の市場で新規製品を投入し、市場シェアを増加させる戦略です。
多角化戦略は、製品と市場の開発の両方が必要となるため、最もリスクが高い戦略方法ですが、成功すれば大きなリターンを得ることができます。
5フォース分析
5フォース分析は、マイケル・ポーター氏によって提唱された業界内での自社の競争力を把握できるフレームワークです。
業界に影響を与える次の5つの要素を特定することで、それぞれの要素が業界の収益性にどのように影響を与えるかを分析します。
- 業界内での競争
- 新規参入の脅威
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
- 代替品の脅威
このフレームワークを使用すれば、競争環境を全体的に把握し、戦略的な意思決定に利用できます。
業界の動向や変化を予測し、適切な対応策を立てることが可能です。
次に各要素の詳細を確認していきましょう。
業界の競争
最初に考慮するべき力は業界内の競争であり、業界内で活動する競合の数とそのライバルの激しさを指すものです。
以下の要因は、競争のレベルを決定する上で重要な役割を果たします。
- 業界の成長率
- 業界の過剰生産能力
- 撤退障壁
- ブランドエクイティ
業界の動向や成長率、競合他社の事業内容などを確認することで、自社が業界の中でどれぐらいの競争力があるのかを把握し、今後の経営戦略の方向性を考えられます。
新規参入の脅威
2つ目は、新規参入の脅威です。
ここでは、新たな企業が市場に参入した際に、既存企業にとってどのような面で脅威となるのかについて把握します。
参入障壁の低い業界は、新規企業が次々と参入する危険があります。
自社企業がどのような強みを持っているかを確認し、新たな企業が参入しても、シェアを奪われないかどうかを確認することが大切です。
新規参入の脅威を決定する要因には、次のものがあります。
- 企業規模
- ブランドの強さ
- 資本力
- 販路の数
- 政府の政策
これらの要素から、新規企業が参入する可能性を理解し、経営戦略を調整できます。
買い手の交渉力
3つ目は、買い手の交渉力です。
顧客の力が強ければ、より高品質な商品・サービスを提供することや、商品の価格を下げることを要求するでしょう。
買い手の交渉力を決定する要因には、次のものがあります。
- 買い手の数量
- 他社製品への乗り換えの容易さ
- 情報の入手可能性
- 価格変化に対する反応度合い
- 消費者保護法
買い手の交渉力を分析すると、顧客の満足度を維持するために、どのような戦略を取るべきかが分かります。
売り手の交渉力
4つ目は、売り手の交渉力です。
売り手とは、部品や材料を納入する業者のことで、その交渉力は自社の収益に影響を与えます。
売り手の交渉力に影響を与える要因には、次のものがあります。
- 代替品の入手しやすさ
- 仕入れ先への依存度の高さ
- 販売価格に対する投資コスト
- 既存の法律や規制
売り手の交渉力を理解することは、売り手との関係を把握し、収益低下を防ぐための対策を打てます。
代替品の脅威
5つ目は、代替品の脅威です。
代替品とは、同じ顧客ニーズを満たす代替製品やサービスを指します。
代替品の脅威を決定する要因には、次のものがあります。
- 買い手が他の商品で代替できるかどうか
- 価格パフォーマンスの高さ
- 他社製品への乗り換えの容易さ
- 製品の違いの認知度
代替品を予測することで、イノベーションを起こし、競争に勝ち残ることができるのです。
AARRR(アー)モデル
AARRRモデルは、製品やサービスの成長を道筋として明示化するフレームワークです。
AARRRとは、以下の5つのフェーズを指します。
- Acquisition(ユーザー獲得)
- Activation(ユーザー活性化)
- Retention(ユーザー保持)
- Revenue(収益化)
- Referral(紹介)
これらのフェーズに沿って、製品やサービスがどのように成長していくのかを追跡します。
次に、AARRRモデルの各フェーズの詳細を確認していきましょう。
Acquisition(ユーザー獲得)
最初のフェーズは、ユーザーの獲得であり、潜在的な顧客を製品やサービスのユーザーに変えることを目標とします。
何の媒体を使ってどのような方法で行うのかについて戦略を立てて、実行後は新規顧客数の数値を確認しながら戦略を調整してください。
Activation(ユーザー活性化)
次のフェーズは、ユーザーの活性化です。
ここでは、ユーザーが製品やサービスを活用し始めることを目指します。
ユーザーがスムーズに製品を利用できるよう製品やチュートリアルを改良したり、製品の様々な活用方法を提供したりすることで指標の上昇を目指しましょう。
Retention(ユーザー保持)
第三のフェーズは、ユーザーの保持です。
ここでは、ユーザーが製品やサービスを継続的に利用することを目指します。
アフターフォローの充実や継続顧客への優待キャンペーンの実施、製品の改良などを行うことで、指標の上昇を目指しましょう。
Revenue(収益化)
第四のフェーズは、収益化です。
ここでは、ユーザーからの収益を得ることを目指します。
適切な価格を検討したり、興味を持った人へどのような手順で購入につなげるかについて収益までの導線を明確にしたりして、指標の上昇を目指しましょう。
Referral(紹介)
最後のフェーズは、紹介です。
ここでは、ユーザーが自身のネットワークに製品やサービスを紹介することを目指します。
例えば、製品の口コミを記載したり、SNSで情報を拡散したりした方に向けて、限定のサービスを行うなどして指標の上昇を目指しましょう。
事業拡大をマーケティングを用いて行うステップ
次に事業拡大をマーケティングを用いて行う具体的な手順を紹介します。
具体的なステップは、以下の通りです。
- 市場調査と分析
- 目標の設定
- マーケティングプランの作成
- プランの実行
- 結果の測定
各ステップで、先ほど紹介したフレームワークを取り入れながら進めていきましょう。
市場調査と分析
事業拡大を進める最初のステップは、市場調査と分析です。
自社の商品やサービスが需要のある市場で競争力を持つかどうかを把握する必要があります。
先ほど紹介したフレームワークを取り入れながら、以下の手順で進めていきましょう。
ターゲット市場の特定
事業拡大の対象となる市場を特定しましょう。
需要が高く、競争が激しくない市場を選ぶことが重要です。
また、自社の製品やサービスがどのようなニーズを満たすことができるかも考慮しましょう。
競合分析
競合他社の存在や彼らが提供する商品やサービスについて調査しましょう。
彼らの強みや弱点を分析し、自社の競争力を評価しましょう。これにより、差別化戦略を立てることができます。
顧客のニーズと要求の把握
ターゲット市場の顧客のニーズや要求を理解するために、マーケットリサーチを行いましょう。
アンケート調査やフィードバックの収集を通じて、顧客の意見や要望を把握することが重要です。
目標の設定
ビジネス拡大のための具体的で測定可能な目標を定義します。
これらの目標には、市場シェアの拡大、新しい市場への参入、新しい製品やサービスの発売などが含まれます。
マーケティングプランの作成
拡大したビジネスを促進するために使用する戦略と戦術の概要を示す包括的なマーケティングプランを作成します。
この計画には、価格設定、製品の配置、プロモーション、流通チャネルに関する詳細を含める必要があります。
選択したマーケティングチャネルは、ビジネスの目標、ターゲット市場、製品やサービス、予算などによって異なります。
プランの実行
計画したマーケティングプランを実行します。
具体的なアクションプランに沿って、適切なタイムスケジュールで実行していきましょう。
また、実際のパフォーマンスを監視しながら、必要に応じて調整を行ってください。
結果の測定
戦略を実行した後は、成果を測定し評価することが重要です。
これにより、戦略が目標を達成しているか、またどの部分に改善が必要かを判断することができます。
主要業績評価指標 (KPI) を使用して戦略の成功を評価し、さらなる最適化に向けてデータに基づいた意思決定を行いましょう。
事業拡大にマーケティングを活用した企業事例
事業拡大を成功させた企業事例として、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)を紹介します。
USJは、マーケティングを実施してV字回復を達成し、その後の事業拡大に成功した企業です。
USJの成功の秘訣には、コンセプトの変更と適切な価格設定があります。
「ハリウッドの映画」をコンセプトにしていたものを、「世界最高のエンターテインメントを集めたセレクトショップ」へと変更しました。
また、ブランド価値を高めるマーケティング施策を行うことで、チケット価格を上昇させています。
コンセプトを変更し、ターゲット層を拡充することで集客率を上げるとともに、あらかじめテーマパークをブランド化して集客の活性化を行い、チケット料金を上昇させることで収益を上げることに成功しました。
また、コンセプトの見直しやチケット価格を見直す際には、「数学マーケティング」を活用して年齢や性別などのターゲット層ごとの集客率や適切な料金を、マーケティング手法を使い、数値として算出した上で、戦略を立てて実行したそうです。
事業拡大には、様々なマーケティングを活用することで成功に近づくことが可能になります。
参考:勝つ確率を極める USJ変えた「数学マーケター」 | NIKKEIリスキリング
事業拡大をマーケティングで達成しよう
今回は、事業拡大にマーケティングを活用する方法や事業拡大にマーケティングを使用するメリットやマーケティング戦略やフレームワークなどを紹介しました。
また、事業拡大をマーケティングを用いて行うステップや企業事例も解説しました。
まずは、今回紹介したマーケティングのフレームワークを使って、自社の事業拡大の可能性や業界の競争力を分析したり、自社製品の成長戦略を考えたりしてみてください。
様々なマーケティング戦略を活用することで、事業拡大を達成させましょう。
「事業が伸び悩んでいる…」
「今の経営のやり方で、本当にこの先大丈夫?」
そう悩んでいませんか?
売上をアップさせ、ビジネスを飛躍させるためには、会社の方向性を定める「成長戦略」が不可欠です。
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