SNS集客を行うメリットとデメリットを解説します。
消費者の購買行動の変化により、集客方法の主流がSNSとなっています。
集客にSNSを使うことで新しい見込み顧客へのリーチ、既存顧客のファン化が可能です。
間違ったSNSの運用は、効果がないだけでなく炎上により自社ブランドの価値を下げるリスクがあるため、集客にSNSを使う際はコツを押さえての運用が大事です。
各SNSの特徴も紹介するので自社に合ったものを選びましょう。
SNS集客のメリット5つ
SNS集客のメリットは主に5つあります。
- アカウントを無料で作成できる
- ブランディングを強化できる
- 潜在顧客にも認知を拡大できる
- 顧客のファン化を強められる
- SNS広告のターゲティング精度が高い
SNSでは交流により親近感を見込み顧客に与えられます。
ただ商品・サービスの宣伝をするだけでなく、自社自身を知ってもらうことが大事です。
1. アカウントを無料で作成できる
SNSは基本的に無料で使用できます。
アカウントをフォローしてもらえば、タイムラインに自社の投稿が表示されます。
新商品や期間限定キャンペーンなどの今すぐ伝えたい情報をリアルタイムで拡散できるため、ユーザーの興味を引きやすいのが魅力です。
投稿がバズ(爆発的に拡散されること)れば一気に大多数のユーザーに届き、自社の認知に結びつきます。
横浜のタクシー会社の三和交通株式会社では、TikTokを活用しています。
サラリーマンのおじさん2人が15秒のダンスを踊る動画が拡散され大人気です。
10代、20代を中心に認知が広がり「TikTok2021上半期トレンド」クリエイター部門にノミネートもされました。
マスメディアにも取り上げられ、お金をかけずに会社の知名度を上げた成功例と言えます。
2. ブランディングを強化できる
アカウントのコンセプトを決めて投稿し続けることで、ユーザーは「○○と言えば××」と考えるようになります。
ブランディングは1回の投稿で印象付けるものではなく、何度も繰り返し発信することで定着していきます。
ラグジュアリーホテルのホテルニューオータニではInstagramを使い、ホテルやレストランの魅力を発信しています。
期間限定のアフタヌーンティーやデザートメニューなど、レストランに関する投稿が多く、ホテル=宿泊施設ではなくレストランにも興味を持たせる訴求で、特別な日に利用する場所というブランディングを強化しているのです。
インスタ集客を成功させるには?運用のメリット・手順・成功事例を解説3. 潜在顧客にも認知を拡大できる
SNSは投稿がユーザーの反応によって自然に拡散されるのが特徴です。
SNSにはユーザーからの口コミも多く、ターゲットへの認知拡大を期待できます。
拡散されれば自社商品を知らない潜在顧客にも投稿が届き、認知されるきっかけになります。
シャープ株式会社のX(Twitter)アカウントでは、ユーザーが「シャープ製品を購入した」というリプライをすると必ずお礼メッセージを返信するそうです。
そのやり取りや家電の相談などの交流を見ていたユーザーが「次に買い替えるときはシャープがいいかもしれない」と考えるようになります。
競合他社の家電を使っている間はニーズが低いですが、買い替え時期に思い出してもらえる存在になることで集客が成功するのです。
4. 顧客のファン化を強められる
SNSは相互のコミュニケーションがしやすいツールです。
ユーザーとのコミュニケーションにより信頼度を向上させ、自社商品・サービスの購入に繋げられます。
ヤマト運輸のLINE公式アカウントでは、配達状況の確認や再配達依頼などが簡単にできます。
隠れワザとして語尾に「にゃん」を付けたネコ語で話すとクロネコからネコ語で返事が来る機能が実装されており、ユーザーから親しみが持てると話題になりました。
結果的にLINE公式アカウントから配達日時の変更などを行うユーザーが増え、クロネコメンバーズの登録数増加にも繋がっています。
集客にLINE公式アカウントを活用するメリットとは|中小企業も使える便利ツール5. SNS広告のターゲティング精度が高い
有料のSNS広告は、予算の上限を決めることができるうえ細かいターゲティングが可能なため、予算が少なくても効果的に集客したい中小企業でもおすすめの施策です。
Facebookでは実名登録であることに加え、プロフィールの項目が多いことからMeta社がターゲティングに利用できるデータが豊富です。
そのため、Facebook広告のターゲティング精度が特に高いとされています。
以下の項目を決めることで、ターゲットに広告を表示させられます。
- 地域
- 年齢
- 性別
- 言語
- 利用者層
- 興味関心
自社の顧客リストを使ったカスタムオーディエンス機能もあるので、自社のターゲットとなるユーザーに広告を届けやすいのがメリットです。
SNS集客の2つのデメリット
SNSを使った集客には2つのデメリットがあります。
- 時間的コストが高い
- 炎上するリスクがある
特に気を付けたいものが炎上です。
一度炎上するとなかなか火が消えず、大きな損害が生じる可能性があります。
社内全体でSNSについて正しく理解することが大切です。
1. 時間的コストが高い
SNS運用は反応がもらえるようになるまで、3か月程度必要です。
反応がなければ拡散されないため、運用初期の間は集客の成果は現れません。
毎日投稿したり自分から他のアカウントに反応したりし続ける必要があるため、手間もかかります。
SNS広告を利用してキャンペーンを実施すれば瞬間的にフォロワーが増えますが、その後の発信がなければ集客に結びつきません。
継続が途切れるとフォロワーやインプレッションの減少に繋がるため、長期的に継続が可能かを考えて導入を検討しましょう。
2. 炎上するリスクがある
SNSは拡散されやすい媒体のため、ネガティブな反応が更に否定的な反応を招き炎上してしまうことがあります。
炎上するとブランディングが傷つき集客はできません。
SNS運用担当者はもちろん全社員がコンプライアンスを徹底し、誰から見ても差別や偏見と感じられない投稿をする必要があります。
企業公式アカウントだけでなく、社員の個人アカウントでも投稿内容に気を付けなければなりません。
日頃からリスク研修を実施し、社員の意識向上を目指しましょう。
シャープ株式会社のX(Twitter)アカウントを運用している「中の人」は「誰かの好きを傷つけないこと」が炎上しないために気を付けることだと話されています。
誰かを批判したり否定したりすると、それを批判する意見が出てきて炎上するのです。
参考:日経クロストレンド『シャープTwitterの中の人「SNSで未来の顧客をつくる」』
SNS集客を行う5ステップ
SNS集客の方法を5ステップで解説します。
- 集客の目的を決める
- ターゲットを決める
- アカウントのコンセプトを決める
- 発信するコンテンツを作成する
- 分析・改善を繰り返す
ステップ1〜4に一貫性があることが大事です。
SNSは投稿した成果を数値で確認することができるため、期待した成果が出なければステップ1〜4を見直してみましょう。
1. 集客の目的を決める
集客の目的には3種類あります。
- 新規顧客の獲得
- リピーターの獲得
- ブランディングの確立
どの目的を達成するかで、アカウントのコンセプトや投稿内容などが変わります。
自社の現状分析を行い、何のための集客をするのかを明確にしましょう。
2. ペルソナを決める
SNSによってメインのユーザー層が異なるため、自社商品・サービスのペルソナに合ったSNSを選択する必要があります。
ペルソナを決める際には以下のような項目を設定します。
- 性別・年齢
- 居住地域
- 家族構成
- 職業
- ライフスタイル
- 年収
- SNSの利用シーン など
自社商品・サービスを購入する人物像であるペルソナを先に決めることで、SNSの選択がしやすくなります。
ペルソナに刺さる発信方法はテキスト・画像・動画のどれなのかを検討するだけでも、最適なSNSが絞られます。
また、ペルソナがどのSNSを使っているのかを想像することも大切です。
3. アカウントのコンセプトを決める
アカウントのコンセプトとは、SNSでの発信軸のことです。
どのような情報をペルソナに届け、ペルソナにどのような行動をしてもらいたいのかを明確にして発信しなければユーザーから興味を持たれません。
コンセプトがあれば一貫性のある投稿になり、今後も投稿を確認しようと考えるユーザーからフォローされやすくなります。
コンセプトはブランディング強化にも関わるため、ブランディングの軸と大きな差異がないようにしましょう。
4. 発信するコンテンツを作成する
SNSでは宣伝だけでなく、ユーザーの共感を得るものやお役立ち情報なども投稿します。
共感を得る投稿はシェアされやすいため認知を拡大しやすく、お役立ち情報などの有益な投稿はユーザーにフォローするメリットを感じてもらえます。
発信するコンテンツごとにどの目的で投稿するものかを考えて作成することが大事です。
SNSだけでは商品・サービスの購入に至らないため、自社メディアやECサイトへの誘導をする必要があります。
SNSキャンペーンでサンプルプレゼントなどを行い、リストを獲得するなど、戦略を決めてSNSを運用することが重要です。
5. 分析・改善を繰り返す
SNSには分析機能がついているため、データからPDCAを回せます。
投稿で確認したいデータは主に以下の3点です。
- プロフィールアクセス数
- インプレッション数(ユーザーが投稿を見た・再生した回数)
- エンゲージメント数(ユーザーが投稿に対して何らかの反応した回数)
投稿と分析を繰り返していると、ユーザーの受けが良い投稿などがわかります。
分析・改善を繰り返すことでSNS集客の成果が出るでしょう。
集客に活用できるSNS6選
ここでは、集客に活用できるSNSを6種類紹介します。
X(Twitter) | ・20代の利用者が多い ・国内月間ユーザー数4,500万人以上 ・短文での発信がメイン ・リアルタイムに情報が拡散される |
・10代~20代の女性が多い ・国内月間ユーザー数3,300万人 ・ビジュアル重視 ・ハッシュタグ検索が多い | |
・30~50代男性が多い ・国内月間ユーザー数2,600万人 ・原則、実名登録と顔写真の掲載が必要 ・炎上しづらい | |
YouTube | ・老若男女問わず全世代が利用 ・国内月間ユーザー数7,120万人 ・長尺動画がメイン ・SEOに強い |
TikTok | ・10~20代の利用者が多い ・国内月間ユーザー数950万人 ・ショート動画がメイン ・フォロワーが少なくてもバズれる |
LINE | ・老若男女問わず全世代が利用 ・国内月間ユーザー数9,600万人 ・プッシュ通知あり ・1対1のメッセージやりとりがメイン |
それぞれのSNSでターゲット層が異なるため、自社のペルソナに合わせてSNSを選択することが重要です。
1. X(Twitter)
X(Twitter)はイーロン・マスク氏が買収してから様々な変化があり動画や音声の投稿もできるようになりましたが、基本的には短文の投稿がメインのままです。
日本では20代の利用者が多く、トレンドやリアルタイムの情報を得るのに向いています。
リポスト(リツイート)により拡散されやすいため、上手くターゲットユーザーと繋がれば数珠繋がりで他のターゲットユーザーにも情報が届く可能性が高いです。
期間限定キャンペーンを実施するときには、リポストを活用して拡散することがおすすめです。
サブスクリプションサービスのXプレミアムやプレミアムプラスに加入すると、アルゴリズムにより投稿の表示優先度が高まるため、タイムライン上での認知獲得に役立つと考えられています。
2. Instagram
Instagramは10代〜20代の女性がユーザーに多いですが、近年は30〜40代のユーザーも増えています。
コスメやファッション、旅行などの視覚的に訴えられるビジネスと相性が良いです。
ハッシュタグで検索して情報を得て、ショップ機能によりECサイトを訪れて購入するという一連の消費行動をInstagramで完結できるのも見逃せません。
マップ機能を使うと、近隣のショップや人気スポットなどが表示されるため、Instagramから来店を促せます。
画像が並ぶフィードと24時間で消えるストーリー、ショート動画のリールを組み合わせて発信することで、ユーザーからの認知を取り興味を引くことができます。
3. Facebook
Facebookはユーザーに決裁権限を持つ30〜50代の男性が多いのがポイントです。
実際のビジネス関係者や友人知人と繋がっていることが多く、実名登録制のため炎上しづらい特徴があります。
Facebookで集客するには、Facebookページという企業アカウントを作成します。
FacebookページはGoogleの検索結果にも表示されるため、自社ホームページの代わりとして活用することも可能です。
現在はアルゴリズムの変化により企業の投稿が表示されにくくなったため、Facebook広告と組み合わせて運用する必要があります。
Meta社がFacebookでの交流を重視する方針のため、宣伝の投稿だけでなくユーザーとのコミュニケーションを意識した投稿を心がけましょう。
4. YouTube
YouTubeは年代性別問わず利用されている動画プラットフォームです。
YouTubeにアップロードした動画は、Googleの検索結果にも表示されます。
タイトルにキーワードを入れたり、タグ付けをしたりすることで検索上位を狙います。
ネット上では相手の顔が見えないことが多く不信感を持たれやすいですが、動画で顔出しすれば表情と声で信頼感を与えられるのがメリットです。
動画はテキストや画像よりも多くの情報を伝えられます。
商品を実際に使用している動画やプロモーション動画があると、競合他社と比較しやすく購入の後押しができます。
撮影・編集スキルが必要なため参入障壁が高めだからこそ、他社との差別化が可能です。
5. TikTok
TikTokは、誰でも簡単にショートムービーをアップロードできるプラットフォームです。
ユーザーは10〜20代がメインですが、最近は平均年齢が高くなりつつあります。
昔はダンス動画や癒し動画が多かったのに比べて今はお役立ち動画やハウツー動画が増え、集客に使いやすいSNSとなりました。
TikTokでは様々な動画がおすすめとして自動的に流れますが、ユーザーは気に入らなければどんどんスキップできます。
反対にユーザーが興味を持てば広告であっても最後まで見てくれます。
ユーザーの広告に対する嫌悪感が少ないのが特徴です。
アカウントのフォロワーが少なくても動画自体の評価が良ければ拡散されるアルゴリズムのため、運用初期からターゲットに発信を届けられる可能性があります。
ユーザーに興味を持ってもらえる内容の動画づくりが重要です。
6. LINE
LINEは国内に9,600万人のユーザーがいる生活インフラ化したコミュニケーションツールです。
インターネットやSNSが苦手な高齢者でもLINEだけは使っている人が多く、老若男女誰にでもアプローチできます。
LINEで集客するには、LINE公式アカウントを作成します。
LINE公式アカウントでは、友だち登録したユーザーへの情報発信や、クーポンやポイントカードの配布が可能です。
メッセージ配信は従量課金制ですが、200通まで無料で送信できます。
LINEアプリにはプッシュ通知があるためメールマガジンよりも開封率が高く、送った直後に開封してもらえる可能性が高いです。
LINE公式アカウントでも1対1のやり取りができるので、顧客のファン化にも役立ちます。
中小企業こそSNS集客を活用しましょう
この記事では、SNS集客のメリット・デメリットや集客方法について説明しました。
SNSは基本的に無料で集客できるツールです。
中長期的な戦略が必要ですが、中小企業でも集客を行えます。
SNS集客の目的やターゲット・コンセプトなどを明確にして、適切なSNSを活用してください。
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