士業マーケティングを取り巻く環境は変化しており、口コミや紹介だけでは立ち行かなくなりつつあります。
士業事務所が顧客を獲得し売上を向上させるには、紹介活動といったオフラインだけでなくホームページなどのWebマーケティング施策も重要です。
この記事ではなかなか売上が上がらず悩んでいる士業の方へ、手法の紹介やマーケティングの重要性、成功事例を解説します。
現状に即した戦略を実践することで、新たな顧客を得られます。
士業事務所が行うべきWebマーケティング手法7選
士業事務所が実施すべきWebマーケティング手法を7種類紹介します。
施策は単独ではなく、ターゲット顧客や事務所の強みに合った複数の手法を組み合わせて実施しましょう。
効果測定と改善を繰り返しながら最適化を図ることが重要です。
1. ホームページ
事務所の信頼感や専門性を伝えるため、ホームページをわかりやすく作成します。
自所がどのような業務を扱っているのか、得意分野や強みは何かを明確に記載します。
個人向け・法人向けサービスを分けて案内するなど、利用者が迷わない設計にすることが大切です。
既存のサイトも定期的に見直し、最新の情報やデザインに更新しましょう。

2. コンテンツマーケティング
専門知識を活かしたブログ記事やコラム、動画などで価値ある情報を発信し、見込み顧客との信頼関係を構築します。
初めて相談する人にとって士業事務所に行くのはハードルが高く感じられることも多いため、スタッフの笑顔の写真やプロフィール、やさしい言葉での解説など、親しみやすさを意識したコンテンツ作りが重要です。
とくに動画で顔出しで説明すると、親近感や信頼感を高められます。
3. Web広告
Web広告を出稿する際には得意分野や対応エリアを明確にし、具体的なニーズに合ったキーワードを選定することが重要です。
「税理士 相続相談」などの具体的なキーワードで出稿できれば、即効性のある集客ができます。
広告文や遷移するランディングページにはサービスのメリットや内容をわかりやすく伝え、専門性や地域性を盛り込みましょう。

4. SNS
各SNSプラットフォームはメインユーザー層が異なるため、ターゲットや集客目的によって使い分けることが大事です。
X(旧Twitter)・Instagram | 親しみやすさや幅広い層への情報発信 |
地域密着型の関係構築 | |
ビジネス層や企業とのネットワーク拡大 | |
LINE | 1対1のコミュニケーションと関係構築 |
SNSではフォロワーや顧客にとって役立つ専門知識や最新情報を定期的に発信しましょう。
税制や法律改正の解説、実務で役立つアドバイスなどが信頼性の向上につながります。
また、DMや返信機能を使った顧客との双方向のコミュニケーションが可能です。
気軽にコメントをもらえるように、投稿内容や言葉遣いに気さくさを意識することが大事です。

5. MEO
Googleビジネスプロフィールに基本情報を正確に記載し、常に最新の状態に保つことが重要です。
「地域名+士業名」のような地域に密着したキーワードを意識的にプロフィールや投稿に盛り込むことで、ローカル検索で上位に表示されやすくなります。
顧客に口コミ投稿を依頼し、集まった口コミには必ず返信することで信頼性が高まるとともに、他の見込み顧客の判断材料になります。

6. メールマーケティング
ニュースレターや無料セミナー案内など、メールを活用して見込み顧客の育成や既存顧客との関係維持を図ります。
配信するメールは、受信者にとって役立つ専門情報や最新ニュース、無料セミナー案内など、価値ある内容を心がけます。
定期的な配信で信頼性を高め、長期的な関係性を築くことが重要です。
無関係な相手や購入意思のない層に大量配信しないよう注意しましょう。

7. ポータルサイト
士業向けの専門ポータルサイトには多くの士業事務所が掲載されているため、独自の強みをアピールしなければ埋もれてしまう恐れがあります。
ターゲットと得意分野を明確にし、実績や解決事例、顧客の声などを活用すると信頼性を高められるでしょう。
ポータルサイトから自社ホームページへのリンクを設定することで、直接問合せの増加を期待できます。

士業事務所におすすめのオフラインマーケティング施策5選
士業事務所が実施すべきオフラインマーケティング施策を5種類紹介します。
オフライン施策は地域密着型の信頼構築や、幅広い層への認知拡大に有効です。
1. ポスティング
地域を絞ってチラシやリーフレットを配布することで、インターネットをあまり利用しない層や高齢者にも事務所の存在を認知してもらえます。
紙製で保存性が高く、繰り返し配布することで認知度が上がり、相談が必要になったタイミングで思い出してもらいやすいのが特徴です。
配布枚数や問合せ件数などを記録し、効果の高いエリアやチラシ内容を分析しましょう。

2. セミナー・無料相談会
専門知識を活かしたセミナーや無料相談会を開催することで直接顧客と接点を持ち、信頼関係を築けます。
参加者の疑問にその場で答えることで、事務所の専門性や誠実さをアピールできます。
セミナーや相談会終了後は、参加者にお礼や追加情報のメールを送り、信頼関係を維持・強化しましょう。

3. 看板・屋外広告
駅前や人通りの多い場所に看板を設置すると、幅広い層への認知拡大が期待できます。
自社のサービスやターゲット顧客に最も適した地域に合わせて設置場所を選びます。
遠くからでも目立つ色使いやフォントで情報を詰め込みすぎず、一目で内容が伝わるデザインにすることが大切です。
事務所の場所や専門分野を明記し、興味を持った人をWebサイトや問合せに誘導しましょう。
4. ネットワーキング・紹介活動
自事務所がどのような案件を得意としているのか、どのような顧客を求めているのかをネットワーク内に明確に伝えることで、紹介されやすくなります。
「この人なら安心して紹介できる」と思われて初めて紹介してもらえます。
日々の業務で誠実かつ高品質なサービスを提供し、顧客やパートナーからの信頼を積み重ねることが重要です。
業界イベントや異業種交流会に参加し、信頼できるパートナーや紹介元を増やしましょう。

5. ダイレクトメール
設立間もない法人や起業したばかりの企業は既存の顧問契約を結んでいない場合が多く、ダイレクトメール(DM)の反応率が高くなりやすいです。
決算期や年度初めなど、相談ニーズが高まる時期を狙って複数回送付することで認知度が上がります。
DMだけで即依頼につながることは少ないため、ホームページや問合せ先のQRコードを記載し、詳細情報の提供や相談につなげましょう。

士業にマーケティングが必要な3つの理由
士業事務所の売上アップのためにマーケティングが必要な理由は主に3点です。
士業の集客は検討期間が長く単価も高い傾向があるため、専門性や独自性を発信し続けることで長期的な資産として顧客獲得につながりやすくなります。
1. 差別化の必要性
士業の業務は資格によって定められており、どの事務所も基本的に同じサービスを提供します。
顧客からはどの先生に頼んでも同じと思われやすく、保有資格や実績だけでは選ばれにくい状況です。
自社の強みや独自性(バリュープロポジション)を明確にし、他の事務所にはないメリットや専門性をアピールすることが不可欠です。
顧客ニーズや競合状況を分析し、自社の強みを明確に打ち出しましょう。

2. 紹介頼りからの脱却
従来は紹介や口コミに頼った集客が主流でしたが、紹介が途切れればすぐに売上が不安定になるリスクがあります。
安定した経営基盤を築くためには、自ら見込み客を獲得しなければなりません。
継続的にコンテンツを発信することでターゲットに認知され、紹介に頼らず新規顧客を獲得できるようになります。
3. 信頼性・認知度の向上
士業のサービスは専門性が高く、一般の人には理解しにくい場合が多いです。
わかりやすく有益な情報を発信することで顧客の信頼を得やすくなり、事務所の認知度も高まります。
最近はインターネットで専門家を探す人が増えているため、ホームページやSNSなどのオンラインで情報発信や信頼構築が重要です。
士業事務所のマーケティング成功例
マーケティングの成功例として2件の士業事務所を紹介します。
どちらの事務所もマーケティングの目的を明確にして、施策に活かしています。
1. 社会保険労務士法人HR ovation
社会保険労務士法人HR ovationは地域に根差した社労士を目指し、Webマーケティングを積極的に活用しています。
自社ホームページをリニューアルし、ユーザー視点のUI設計やSEO対策、ブログ更新を継続したことで「西宮市 社労士」など地域名を入れたキーワードでの検索流入が増加し、問合せ件数が向上しました。
また、専門分野や実績をわかりやすく発信し、信頼感と親近感を高める工夫も実施しています。
Webを活用することで、従来の紹介頼りの集客から脱却し、地域密着型の社労士事務所として安定した新規顧客獲得に成功しました。
2. TECH GOAT PARTNERS法律事務所
TECH GOAT PARTNERS法律事務所は、IT系ベンチャーやスタートアップ企業の法務サポートに特化した弁護士事務所です。
自社サイトの運用性向上とリード獲得強化のため、簡単に操作しやすいCMSを導入し、オウンドメディアとして専門性の高いコンテンツを定期的に発信できる体制を整えました。
IT業界らしいおしゃれで親しみやすいデザインとタイムリーな情報提供を両立し、ターゲット層からの信頼と認知度を高めています。
Webからの新規顧客獲得や既存顧客へのサポート強化にも成功しました。
士業は口コミだけに頼らないマーケティング戦略が大事
士業は口コミや紹介だけに頼った集客では、安定した成長が難しい時代になっています。
口コミは信頼性が高い一方で、顧客の紹介ペースに依存する「待ち」の集客方法であり、問合せ数や売上が不安定になりがちです。
コンテンツマーケティングやホームページ、ダイレクトメールなどのマーケティング戦略を取り入れることで、自ら積極的に見込み客へアプローチできる「攻め」の集客チャネルを構築できます。
戦略立案の目的やターゲットを明確にし、自事務所の強みを適切にアピールすることで、安定的かつ持続的に新規顧客を獲得できる経営基盤が築けるでしょう。
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